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住宅ローンの連帯保証人・連帯債務者を外す方法。借り換え時の名義整理

作成者: カシワバラさんの暮らし。編集部|Oct 31, 2026, 1:00:01 AM

「離婚が決まったけれど、住宅ローンの連帯保証人から抜けられるのだろうか」「夫婦の連帯債務で組んだローンを、借り換えを機に一人の名義にまとめたい」——ローンを組んだ時点では想定していなかった事情で、契約の名義を見直したくなることがあります。

ところが、連帯保証人や連帯債務者は、当事者同士の話し合いだけでは外れません。離婚協議書に「今後は夫が一人で返済する」と書いたとしても、それは夫婦の間の約束にとどまり、お金を貸している金融機関との契約はそのまま残るからです。

この記事では、連帯保証人・連帯債務者から外れるための4つの方法と、金融機関がどこを見て承諾を判断するのか、そして外れないまま放置したときのリスクまでを取り上げます。

連帯保証人と連帯債務者、外れるときに何が違うのか

同じ「2人で組んだ住宅ローン」でも、連帯保証人と連帯債務者では立場が大きく異なり、外れるときに整理しなければならない範囲も変わってきます。

項目

連帯保証人

連帯債務者

立場

主債務者が返済できないときに、代わりに返済する

借入当初から、2人ともローン全額の返済義務を負う

住宅の持分

持たないことが多い

持分を持つ(共有名義)のが一般的

住宅ローン控除

原則として対象外

持分と負担割合に応じて対象になりうる

外れるときに必要なこと

金融機関の承諾
(代わりの保証人・主債務者の返済能力の確認)

金融機関の承諾に加え、
持分(所有権)の整理が必要になることが多い

連帯保証人の場合、ローンの返済義務と住宅の所有は切り離されているので、見直す対象は「保証の契約」だけで済むケースが大半です。一方の連帯債務者は、返済義務に加えて住宅の持分も持っていることが多く、外れる際には債務と持分の両方をどうするかを決めなければなりません。

連帯債務とペアローンの違いは、「ペアローンと連帯債務の違いは?共働き夫婦の住宅ローンの組み方」でも詳しく整理しています。

 

連帯保証人・連帯債務者から外れる4つの方法

どの方法を選ぶにしても、前提になるのは金融機関の承諾です。そのうえで、現実的な選択肢は次の4つに分かれます。

① 代わりの連帯保証人(連帯債務者)を立てる

外れたい人と同等以上の収入や資力がある人を新たに立て、金融機関が認めれば、入れ替えという形で契約を変更できます。ただ、親族などに新たな保証を頼むことになるため、実際には候補者を見つける段階で行き詰まりやすい方法でもあります。

② 残る人が単独で返済できると金融機関に認めてもらう

主債務者(連帯債務なら、ローンに残る側)の収入だけで返済を続けられると判断されれば、保証人を外したり、連帯債務を単独の債務に切り替えたり(免責的債務引受)することに応じてもらえる場合があります。このとき行われるのは、新規の借り入れとほぼ同じ目線での再審査。年収に対する返済負担率や勤続年数、ほかの借り入れの状況などが改めて確認されます。

③ 単独名義で借り換える

別の金融機関で、残る人の単独名義の住宅ローンを新たに組み、そのお金で今のローンを完済する方法です。元の契約そのものがなくなるので、連帯保証人・連帯債務者の立場も一緒に解消されます。金利条件によっては返済額を抑えられる可能性がある反面、事務手数料や登記費用などの諸費用もかかるため、損得は数字で比べておきたいところ。借り換えの考え方は「毎月の返済額が数万円変わる可能性も?住宅ローン『借り換え』の損益分岐点」も参考になります。

④ 売却または繰上返済でローンを完済する

住宅を売却してローンを完済すれば、保証も債務もすべて終わります。とはいえ売却価格が残債を下回れば、差額を自己資金で埋めなければならず、そこが壁になるケースも。まとまった資金を繰上返済に回して残債を減らしておくと、②や③の審査で承諾を得やすくなることがあります。

【金融機関に無断で名義を変えない】

住宅ローンの契約では、担保になっている住宅の持分を移したり売ったりする際に、金融機関の承諾が必要と定められているのが一般的です。離婚の財産分与などで持分だけを先に移してしまうと契約違反にあたり、ローンの一括返済を求められるおそれがあります。持分の移転は、必ず金融機関に相談してから進めてください。

金融機関はどこを見て承諾するのか

金融機関にとって、連帯保証人や連帯債務者は「万一のときに回収するための備え」。そこを外すのは担保の一部を手放すのに近いため審査は慎重になり、主に次のような点が確認されます。

  • 残る人の年収と返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)
  • 勤務先や勤続年数など、収入の安定性
  • これまでの返済状況(延滞がないか)
  • 住宅の担保評価と、ローン残高とのバランス
  • 車のローンやカードローンなど、ほかの借り入れの有無

もともと2人分の収入で審査を通していたローンを1人で背負う形になるので、残る人の収入だけでは基準に届かないこともあります。その場合は、繰上返済で残債を減らしてから相談する、返済期間の延長とあわせて検討するなど、条件を整えたうえで申し出た方が話は進みやすくなります。

離婚・借り換え時に一緒に整理したい「持分」と税金

連帯債務で共有名義にしている場合、ローンから外れる人の持分をどう扱うかも決めておかなければなりません。離婚にともなって持分を相手に渡すなら、財産分与として登記を移すのが一般的な流れです。

税金面では、離婚の財産分与で財産を受け取った側には、原則として贈与税はかかりません(国税庁「No.4414 離婚して財産をもらったとき」)。ただし、分与の額が多すぎると判断された場合や、税金を免れるための離婚と認められた場合は例外です。また、土地や建物を渡した側には、譲渡所得として所得税がかかる場合があるため(国税庁「No.3114 離婚して土地建物などを渡したとき」)、登記を移す前に税理士へ確認しておくと安心です。

住宅ローン控除への影響も見落とせません。連帯債務者として控除を受けていた人がローンから外れれば、その人の控除はそこで終わります。単独名義で借り換えた場合は、新しいローンが元のローンの返済のためのものであること、償還期間が10年以上であることなどの要件を満たせば、控除を続けられる可能性があります(国税庁「No.1233 住宅ローン等の借換えをしたとき」)。もっとも、控除の対象になる残高は借り換え直前の元のローン残高が上限になるなど、計算の決まりがある点には注意が必要です。

外れないまま放置するとどうなるか

名義の整理を後回しにしたまま時間が経つと、次のようなリスクを抱え続けることになります。

返済が止まれば、請求は自分にも届く

離婚して別々に暮らしていても、連帯保証人・連帯債務者である限り、元配偶者の返済が滞れば金融機関から返済を求められます。連帯保証人には「まず主債務者に請求してほしい」と主張する権利がないので、請求そのものを拒むことはできません。

新しいローンや住み替えの審査に響くことがある

住宅ローンの審査では、ほかに抱えている借り入れや保証の状況も確認されます。連帯債務者のままなら、そのローンは自分の借り入れとして扱われるため、将来自分で家を買おうとしたときに借りられる額が大きく目減りすることも。連帯保証についても、申し込み時の申告や信用情報を通じて確認される場合があります。

住宅を売りたくても自由に売れない

共有名義のままだと、売却には名義人全員の同意が必要です。離婚から年月が経って連絡を取りにくくなると、売却の話し合いを始めること自体が難しくなってしまいます。

カシワバラ・アシスト 担当者の声

菅野 洋(カシワバラ・アシスト 銀行代理事業室 課長)
貸金業務取扱主任者・住宅ローンアドバイザー
2007年カシワバラ・アシスト入社/【フラット35】の営業・業務・審査を歴任

「フラット35の営業と審査の両方に携わってきた立場からお伝えしたいのは、「離婚協議書に書いておけば外れる」わけではない、ということです。金融機関の承諾がない限り、契約はそのまま残ります。残る方の収入で審査が通るのか、借り換えや繰上返済と組み合わせる余地はあるのか。手続きの順番を誤ると選べる道が狭まってしまうので、財産分与の話し合いを始める段階でご相談いただくのが理想です。」

 

よくある質問(FAQ)

Q. 離婚協議書や公正証書で「夫が単独で返済する」と決めれば、連帯保証人から外れられますか?

A. それだけでは外れません。離婚協議書や公正証書の取り決めは、夫婦の間では有効でも、金融機関との契約には影響しないためです。元配偶者が返済を続けている間は問題が表に出にくく、延滞が起きてはじめて、連帯保証人として返済を求められる——というケースも。取り決めとは別に、金融機関へ保証人の変更や解除を申し出る必要があります。

Q. 単独名義に借り換えるとき、元のローンの金融機関にはどう伝えればいいですか?

A. 借り換えは、新しい金融機関から借りたお金で元のローンを一括返済する手続きなので、元の金融機関には「全額繰上返済」として申し込むのが一般的です。固定金利の期間中などは一括返済の手数料が高めに設定されている場合があるため、事前に借入先の条件を確かめておくと無駄な出費を避けられます。持分の移転や抵当権の抹消・設定の登記も同時に行うことになるので、司法書士への依頼費用も諸費用として見込んでおきましょう。

まとめ:名義の整理は「金融機関の承諾」から逆算して進める

連帯保証人・連帯債務者は、夫婦の話し合いや書類上の取り決めだけでは外れません。代わりの保証人を立てるのか、残る人の単独債務に切り替えるのか、単独名義で借り換えるのか、あるいは売却や繰上返済で完済するのか——どの方法でも、最後に鍵を握るのは金融機関の承諾です。

持分の移転や税金、住宅ローン控除まで関わってくるので、離婚や借り換えの話が具体的になる前に、残る人の収入で審査が通るかどうかを確かめておくことが、名義の整理をスムーズに進める近道になります。

※ カシワバラ・アシストでは、住宅ローンの専門機関として、連帯保証人・連帯債務者の変更や、単独名義への借り換えのご相談にも対応しております。「自分の収入だけで審査が通るか知りたい」という段階から、ご相談いただけます。

※ 名義変更や債務の引き受けの可否と条件は、金融機関やローン商品(フラット35を含む)ごとに違いがあり、この記事は一般的な流れをまとめたものです。実際の手続きは借入先の金融機関に、財産分与や税金の扱いは弁護士・税理士にもあわせてご確認ください。

監修者プロフィール

菅野 洋 カシワバラ・アシスト 銀行代理事業室 課長

【保有資格】
貸金業務取扱主任者・住宅ローンアドバイザー

【経歴】
2007年にカシワバラ・アシストへ入社。前職での住宅販売の実務経験に加え、瑕疵(かし)保険会社への出向を通じて全国の工務店や注文住宅の現場事情にも精通する。【フラット35】の実務においては、営業・業務・審査の全セクションを歴任。住宅を「売る側」「買う側」そして「融資する側」のすべての視点を持つエキスパートとして、現在は銀行代理事業室にて【ドコモSMTBネット銀行】などの業務を牽引。複雑な手続きを円滑に進める段取り力と、お客様の不安を取り除く丁寧でわかりやすい説明に定評がある。

【読者へのメッセージ】
離婚や借り換えをきっかけにした名義の整理は、夫婦の取り決めと金融機関との契約を切り分けて考えるところが出発点です。金融機関の審査の目線と、住宅を売る側・買う側の事情の両方を踏まえて、ご家族それぞれが新しい生活に踏み出せるよう、整理の仕方をご一緒に考えます。