35年の住宅ローンを組んだあと、「もしも」があなたやご家族に起きたら、どうなるでしょうか。
がんの罹患、突然の失業、要介護状態——どれも「まさか自分が」と思うことばかりですが、35年という長い返済期間の中では、こうしたリスクが現実になる可能性も考えておく必要があります。
この記事では、住宅ローン返済中の「もしも」に対して、団体信用生命保険(以下、団信)・公的制度・民間保険がどこまで支えてくれるのか、そして残る家計リスクにどう備えるかを、ファイナンシャル・プランナーの視点から整理します。
【保障内容についての注意】
団体信用生命保険(以下、団信)・保険の保障範囲や給付条件は、金融機関・保険会社・商品ごとに異なります。本記事は一般的な傾向をまとめたものです。ご自身が加入されている団信・保険の内容は、契約時の書類やコールセンターでご確認ください。
住宅ローン加入時に選べる「がん特約付き団信」は、多くの場合、がんと診断確定された時点で住宅ローン残債が0円となるケースが多い保障です。ただし、給付条件をあらかじめ確認しておきましょう。
団信のがん特約は、多くの場合、1回限りの給付です(残債が0円になるため)。一方、民間のがん保険は入院給付・治療給付など、複数回にわたる給付が受けられる設計のものもあります。両方に加入している場合、重複というより補完関係になるケースが多く見られます。
住宅ローンの返済が止まっても、治療費・収入減・家族の生活費という負担は残ります。がん罹患時の自己負担額は年間100〜200万円程度になるケースもあるとされ、民間のがん保険や医療保険で備えておくのが一般的な考え方の一つです。
失業や大幅な収入減があった場合、多くの銀行は「返済方法変更(リスケジュール)」の相談に応じる場合があります。返済期間の延長(月々の負担を減らす)、元金据置(一定期間は利息のみ)、ボーナス返済の一時停止といった方法があります。
フラット35を利用中の方は、住宅金融支援機構の返済方法変更を利用できる場合があります。タイプA(返済期間延長。離職や病気等で返済が困難になった場合が対象で、収入等に応じた要件があります)、タイプB(一定期間の返済額減額。教育費・医療費など一時的な支出増加が見込まれる場合が対象)、タイプC(ボーナス返済の変更・取りやめ)等の返済方法変更メニューがあり、状況に応じて組み合わせて利用できる場合もあります。
延滞してしまうと、信用情報に記録が残り、リスケ交渉のハードルが上がる可能性があります。「今月は厳しいかもしれない」と感じた段階で相談することで、選択肢を多く残しやすくなります。
自宅で介護を続ける場合と、施設に入所する場合とでは、かかる費用や家計への影響が大きく異なります。
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介護の選択肢 |
主な費用の目安・影響 |
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自宅で介護を続けるケース |
バリアフリー改修:50〜200万円程度 |
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施設入所を選ぶケース |
特別養護老人ホーム:月8〜13万円程度 |
要介護状態になっても、住宅ローンの支払い義務は基本的に残ります。「全疾病団信」に加入していれば、就業不能状態が続いた場合に残債が0円になる商品もありますが、給付条件は金融機関や商品ごとに細かく設定されていることが多いため、契約時によく確認しておきましょう。
病気やケガで働けなくなった場合に、月10〜30万円程度の給付が受けられる保険です。住宅ローン返済と生活費の一部をカバーする目的で利用されることが多い保険です。
会社員・自営業を問わず、収入減を補償する保険です。契約時の年収や職業によって保険料が変わります。
1段目は団信(住宅ローン残債への備え)、2段目は就業不能保険(月々の生活費への備え)、3段目は緊急資金(生活防衛費で6ヶ月分程度)。この3段構えを意識しておくことで、「もしも」の際の家計への影響を抑えやすくなります。
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備えの目的 |
金額イメージ(目安) |
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生活防衛費 |
月支出6ヶ月分 |
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医療・介護準備 |
家族1人あたり100〜200万円程度 |
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教育予備費 |
お子さま1人あたり100〜300万円程度 |
小林 勝之(カシワバラ・アシスト 第1営業部 次長)
ファイナンシャル・プランナー(2級FP技能士)・貸金業務取扱主任者・個人情報取扱主任者
2011年カシワバラ・アシスト入社/返済計画見直しの対応実績多数
「『団信に入っているから安心』とおっしゃる方は多いのですが、団信でカバーされるのは死亡・高度障害・所定のがん罹患など、商品ごとに定められた範囲に限られます。失業や要介護状態は対象外となっている場合も多く、公的制度や民間保険とあわせて備えておく必要があります。住宅ローンを組むタイミングで、ご家庭の『もしも』への備えを一度整理してみることをおすすめします。」
A. 残念ながら、失業による住宅ローンの返済免除や残債がゼロになる制度(団信特約など)は一般的ではありません。ただし、延滞してしまう前に金融機関へ相談すれば、返済期間の延長や一時的な返済額の減額(リスケジュール)に応じてもらえるケースがあるため、早めに相談するようにしましょう。
35年の住宅ローン返済中に、「もしも」が起こる可能性はゼロではありません。がん罹患・失業・要介護状態——それぞれのリスクに対して、団信・公的制度・民間保険を組み合わせておくことで、家計への影響を抑えやすくなります。住宅ローンを組むタイミングは、こうした「もしも」への備えを見直す一つの機会でもあります。
※ カシワバラ・アシストでは、住宅ローンの専門金融機関として、団信の保障範囲や公的制度・民間保険とのバランスを踏まえたご相談にも対応しております。「今の備えで足りているか不安」という段階から、お気軽にご相談ください。
小林 勝之 カシワバラ・アシスト 第1営業部 次長
【保有資格】
ファイナンシャル・プランナー(2級FP技能士)・貸金業務取扱主任者・個人情報取扱主任者
【経歴】
2011年カシワバラ・アシスト入社。複雑なローン商品の比較検討から、お客様の家計状況に応じた資金計画の作成、審査書類の作成支援、融資実行までの一貫したサポートを多数手がける。詳細なシミュレーションに基づいた提案には定評があり、ライフステージの変化に応じた返済計画の見直しまで幅広く対応する住宅ローンの専門家。
【読者へのメッセージ】
住宅ローンは35年という長い時間の中で、「もしも」が起こる可能性を抱えています。がん罹患・失業・要介護状態——それぞれのリスクに対して、団信・公的制度・民間保険がどこまでカバーしてくれるのか。ご家族の状況に応じた「もしも」対策を、FPと一緒に整理していきます。