



「マンション管理委託費の相場はいくら?」
「どうすれば管理委託費を抑えられるのだろう」
マンションの管理組合の方で、上記のような疑問や悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、マンション管理委託費に関する相場の誤解や管理委託費の内訳について解説します。管理委託費を適正価格に抑えるための具体的なポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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マンション管理委託費とは
マンションの管理委託費とは、日々の管理業務を行う対価として、管理組合が管理会社に支払う費用のことです。
よく似た言葉に「管理費」がありますが、これはマンションで快適に生活するため、事務処理や設備の維持・管理などの目的で、区分所有者が管理組合に支払う費用を指します。つまり、管理費の一部が管理委託費として管理会社に支払われるという関係性です。
管理委託費は、「管理業務委託費」と「設備管理費」の2つのカテゴリーに大別できます。項目は以下の通りです。
カテゴリー | 項目 |
---|---|
管理業務委託費 | ・事務管理業務費 ・管理員業務費 ・清掃(員)管理業務費 ・24時間遠隔管理費 |
設備管理費 | ・エレベーター保守点検費 ・機械式駐車場保守点検費 ・消防用設備点検費 ・建築設備定期検査費 ・雑排水管清掃費 ・設備巡回点検費 |
これらの費用はマンションの設備状況によって大きく異なります。各項目の具体的な内容を理解することは、管理委託費が適正かを見極めるうえで非常に重要です。
マンションの管理委託費相場

国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」によると、マンションの管理費の平均は、1戸あたり17,103円です。この金額が、一般的なマンションの管理費の相場といわれることが多いです。
しかし実際のところ、この相場を鵜呑みにして参考にするのはあまりおすすめできません。
参照:国土交通省「令和5年度マンション総合調査」
相場価格は実際は存在しない
マンション管理業務を請け負っているカシワバラグループとしては、マンションの管理委託費には、画一的な相場はないと考えています。
たとえば、以下のような2つの物件では、管理委託費に大きく差が出ます。
- A物件:エレベーターが1基、機械式駐車設備はない、管理人1名
- B物件:エレベーターが2基、機械式駐車設備がある、管理人2名
何の設備があるか、人をどれだけ配置するかなど、その物件の状況に応じて管理内容が変わるため、当然、管理委託費も都度異なります。
この前提を理解せずに、一般的な相場の情報だけを見ても、正しい判断はできないでしょう。
管理委託費が妥当かどうか判断するためには、自身のマンションに必要な管理条件を提示し、複数業者から見積を取る必要があります。
マンション管理委託費の内訳ごとの参考価格
マンション管理委託費の内訳ごとの参考価格を確認していきましょう。
- 管理業務委託費の内訳と参考価格
- 設備管理費の内訳と参考価格
管理業務委託費の内訳と参考価格
管理業務委託費の内訳と参考価格は、以下の通りです。
内訳 | 概要 | 参考価格/月 |
---|---|---|
事務管理業務費 | ・管理会社担当者の人件費 ・各種システム利用料 ・管理報酬 |
1戸あたり、約1,500円~3,000円 |
管理員業務費 | ・管理人の人件費(※) | 週40時間勤務:約31万円~35万円 |
清掃(員)管理業務費 | ・清掃員の人件費(※) | 週9時間勤務:約7万円~8万円 |
24時間遠隔管理費 | ・火災警報や貯水槽などの警備費 | 約15,000円~30,000円 |
※人件費は時間単価1,800円~2,000円で計算
これらの項目は、管理業務の内容や管理体制によって大きく左右されるため、内訳をしっかり確認しておくことが重要です。
設備管理費の内訳と参考価格
設備管理費の内訳と参考価格は、以下の通りです。
内訳 | 相場 |
---|---|
エレベーター保守点検費 | ・エレベーター1基あたり、月額約40,000円 ・高層マンションの場合は高額になる |
機械式駐車場保守点検費 | ・1パレットあたり、1回約4,000円 ・年間4~6回実施が一般的 |
消防用設備点検費 | ・1戸あたり、年額約4,000円 ・地下駐車場やハロン消火設備などがあると、10,000円以上になることもある ・年に2回の実施義務 |
建築設備定期検査費 | ・1戸あたり、年額約1,500円 ・年に1回実施が一般的 |
雑排水管清掃費 | ・1戸あたり、1回約4,500円~5,000円 ・年に1回実施が一般的 |
設備巡回点検費 | ・1回あたり、約20,000円~30,000円 ・実施回数はマンションによって異なる |
これらの費用は、設備の設置状況や点検頻度、保守契約の内容などによって変動します。各設備の点検項目についても、細かく確認しておきましょう。
マンション管理委託費を適正価格に抑えるポイント
- 内訳を細かく確認する
- 管理業務の内容を見直す
- 管理会社に相談する
- 一部委託方式を検討する
- 複数社から相見積もりを取る
内訳を細かく確認する
マンション管理委託費を適正価格に抑える第一歩は、管理委託契約書に記載されている内訳を徹底的にチェックすることです。
管理会社によって見積書の形式や項目分けはさまざまで、「一式」とまとめられた部分が多いと、具体的なサービス内容が見えにくいことがあります。たとえば「清掃員管理業務一式」とあれば、日常清掃の頻度や範囲、特別清掃の有無まで確認が必要です。
些細なことでも不明な点は管理会社に確認し、明確にしましょう。
また、過去の契約書や他社の見積もりと比較することで、管理委託費が割高でないか、不要なサービスが含まれていないかを判断できます。
管理業務の内容を見直す
管理委託費を抑えるためには、管理業務の内容自体を見直すことも有効な手段です。
- 管理人の勤務時間を短縮する
- 清掃の頻度を減らす
- 共用部の備品や消耗品を安価なものに変更する
ただし、これらの見直しによって居住者の快適な暮らしが損なわれる可能性もあるため、注意が必要です。管理組合内でアンケートを実施したり、住民説明会を開催したりして、居住者の意見も聞きながら検討を進めるようにします。
費用削減とマンションの価値の維持を両立させる視点を持ち、費用とサービスのバランスを意識することが大切です。
管理会社に相談する
現在の管理委託費が明らかに高額だと感じるものの、すぐに管理会社を変更したくない場合は、管理会社に直接相談してみましょう。
長年の付き合いがある管理会社であれば、マンションの状況をよく理解しており、柔軟な対応をしてくれる可能性があります。現状のサービス内容を維持しつつ費用を抑える方法を、一緒に探る姿勢で話し合いを進めましょう。
相談する際は、どの項目が割高に感じるのか、他社の見積もりを持参するなどして具体的な根拠を提示すると、スムーズに交渉が進みます。
一部委託方式を検討する
現在の委託方式が、管理業務をすべて管理会社に任せる「全部委託」方式の場合、費用削減のために「一部委託」方式への切り替えを検討するのも一つの方法です。
マンションの管理方法は、以下の3種類があります。
- 全部委託:すべての管理業務を管理会社に委託する
- 一部委託:管理業務の一部を管理会社に委託する
- 自主管理:すべての管理業務を居住者が行う
全部委託は管理組合の手間が少ない反面、費用は高くなりがちです。一方、一部委託に切り替えることで、管理組合の工数は増えますが、その分費用を安く抑えることが可能です。
ただし、委託方式を変更するには、管理組合総会での変更決議が承認されたうえで、管理会社にも了承を得る必要があります。変更によるメリットとデメリットを慎重に比較検討し、十分な合意形成を図りましょう。
複数社から相見積もりを取る
管理会社の変更を視野に入れて検討するのであれば、複数社から相見積もりを取りましょう。管理会社によってサービス内容や単価は異なるため、最低でも3社、可能であれば5社程度を目安に見積もりを依頼します。
公平に比較するためには、同条件で見積もりを依頼することが重要です。希望するサービスレベル、管理員の勤務形態などを明確に提示し、各社に同じ基準で見積もりを出してもらうようにしましょう。
また、単に金額が安い業者が良いとは限りません。安すぎる業者の場合、サービスの質が低かったり、追加費用が発生したりするリスクが潜んでいます。金額だけでなく、サービス内容や範囲、担当者の対応、実績や評判なども判断材料としてください。

マンション管理に役立つ新情報
管理委託費の相場はあくまで目安!内訳を確認して適正価格かを判断しよう
マンション管理委託費の相場はあくまで一般的な目安であり、マンションの設備や管理業務の内容などによって大きく変動します。
大切なのは、数字を鵜呑みにせず、管理委託費の内訳を細かく確認し、自分のマンションにとっての適正価格を見極めることです。
適正価格を理解したうえで割高に感じる場合には、委託方式や業務内容を見直し、管理会社に相談したり、複数社に相見積もりをとって管理会社の変更を検討したりしましょう。
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