中古マンションの資産価値は修繕履歴が重要! 要チェック項目を確認

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      中古マンションの売買時に、「資産価値のチェックで欠かせない」と言われているのが修繕履歴です。

      修繕履歴には外壁の塗り替えや給水管の交換など、過去に行われてきた修繕の記録が残されています。では、なぜ履歴を知ると、資産価値をチェックできるのでしょうか?

      今回は履歴の見方と、それがマンションの資産価値にどう結びつくかを紹介していきます。

      中古マンションの品質は修繕履歴でわかる

      修繕履歴はマンションの品質を大きく左右する

      中古マンションの購入時などに、物件価値を判断する材料の一つとして利用されているのが「修繕履歴」です。修繕履歴には主に以下のような内容が記録されます。

      ・実施年月
      ・「外壁塗装」などの工事名と工事内容
      ・工事の契約金額
      ・工事を委託した事業者名

      宅地建物取引業法によると、マンションのような区分所有建物では、「建物の維持修繕の実施状況の記録」を重要事項説明で案内する必要があるとしています。

      書類は管理会社から取り寄せ

      マンションの修繕履歴はインターネット上などでは公開されていません。多くの場合、マンションの修繕履歴を記した書類は管理会社が保持しているので、依頼をすれば入手は可能です。物件の購入前であれば不動産仲介会社を通して依頼をしましょう。

      なお、管理組合では将来的に予定をしている大規模修繕についてもまとめた、「長期修繕計画」も保持しています。必要に応じてこちらの書類も取り寄せましょう。

      修繕履歴がマンションの資産価値を高める

      適切な修繕が資産価値を保つ

      中古マンションの価値を計るうえでは、修繕履歴が一つの判断材料になります。なぜなら外壁補修や給排水管の交換といった修繕が、長期修繕計画に沿って行われていれば、建物の資産価値が適正に保たれていると考えられるからです。

      マンションの所有者にとっても、物件売却の際に資産価値を表す書類となるため、履歴を残しておけば有用な材料となります。

      国税庁では鉄筋コンクリート造の住宅の法定耐用年数を47年と定めていますが、実際の耐久性や耐震性は修繕状況に左右されます。きちんと修繕を行い、履歴が残されているマンションであれば、快適に住み続けられるでしょう。

      計画通りの大規模修繕が物件価値を保つ

      長期修繕計画の更新頻度にも注目!

      国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」では、長期修繕計画を立てた後も5年程度を目安に調査を行い、計画を見直すことを推奨しています。

      これは、建物の劣化状況、社会的な環境や生活様式、適切な修繕工法やコストなどが、時間の経過ともに変化していくためです。例えば、部材費や人件費が高騰すれば、当初予定していた修繕時期になっても、工事が実施できない恐れがあります。

      マンションの修繕における計画性をチェックするには、長期修繕計画の更新頻度が一つのポイントになるでしょう。

      国土交通省のマニュアルでは大規模修繕は12〜15年に1回が目安

      適切な修繕周期は建物ごとの状況に応じて判断

      国土交通省「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」では、マンションの大規模修繕は12〜15年程度に一度の実施が目安とされています。これよりも大規模修繕を実施する周期が長いと、建物の劣化が進んでしまう可能性が出てくるでしょう。

      ただし、修繕箇所によっては工法や部材の進化によって、耐久年数が上がっているケースも考えられます。実際に、近年では15〜18年周期での大規模修繕工事の実施を推奨する修繕業者も出てきました。本当に適切な修繕周期は、建物ごとの状況に応じて、総合的な視点からの判断が求められるでしょう。

      修繕計画の実施には適切な積立金が必要

      長期修繕計画では想定される工事の内容と時期、概算費用を設定します。そのうえで、管理規約で修繕積立金の額を指定。積み立てた修繕費用は、工事に合わせて適宜取り崩していきます。

      修繕履歴や長期修繕計画を確認する際には、一緒に修繕積立金のキャッシュフローを調べておくと良いでしょう。修繕費用が不足していると、毎月の積立金が値上がりする可能性があります。

      なお、積立金の徴収方法には、当初の徴収額を抑えた「段階増額積立方式」と、必要な修繕費用を均等割で納めてもらう「均等積立方式」があります。

      国土交通省の2018年度における調査によると、新しいマンションほど「段階増額積立方式」を用いており、2010年以降では67.8%のマンションが採用していました。当初の負担こそ少なく済みますが、年を追うたびに負担額が増えるので注意が必要です。

      各施設の耐用年数から修繕計画の精度がわかる

      国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」では、各施設の修繕における参考周期を紹介しています。そのなかから、いくつかを抜粋してみると……

      ・外壁塗装:12年〜15年(塗替)/24年〜30年(除去・塗装)
      ・給水/排水管:19年〜23年(更生)/30年〜40年(取替)
      ・ガス管:28年〜32年(取替)
      ・空調/換気設備:13年〜17年(取替)
      ・電灯設備:18年〜22年(取替)
      ・電話設備:28年〜32年(取替)
      ・昇降機:12年〜15年(補修)/26年〜30年(取替)

      となっていました。それぞれの施設の稼働年数と修繕時期を照らし合わせれば、長期修繕計画が正しく設計されているか判断できそうです。

      あらゆるメンテナンス情報を「履歴」に集約

      修繕履歴には給湯器などのインフラだけでなく、トイレやユニットバスといった付帯設備、さらには消火器や火災報知器まで、さまざまな設備のメンテナンス情報が記載されます。

      こうした修繕の履歴を残せば、「快適に暮らせる物件」という安心感につながります。マンションの資産価値の証明にもなるので、きちんと記録されているか把握しておきたいところです。

      修繕履歴は管理会社に依頼するのが一番確実

      マンションの修繕履歴に残すべき情報は、ある程度フォーマットが決まっており、Excelなどで使えるテンプレートも流通しています。

      これを利用して履歴を自作してもよいですが、記入すべき項目が複数あるので、やや難易度が高いかもしれません。

      必要な情報を省略せずに、きちんとした体裁で、履歴を確実に残すためには、管理会社に依頼すると良いでしょう。

      修繕履歴はマンション管理のバロメーター

      マンションを計画的かつ合理的に修繕するには、修繕履歴を振り返ることが大切です。さらに、「○年ユニットバス交換」といった具体的な改修情報があれば、物件を手放す際にも、買い手へのアピールになります。

      快適に住み続けて、適切な価格で売却するためにも、修繕履歴は重要な書類です。必要に応じて内容を精査しておけば、マンションの資産価値を高める役に立ってくれるでしょう。

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