マンション総会は最低年1回! 基礎知識や出席率を上げる方法を解説

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      分譲マンションに住んでいると、定期的に総会への出席案内が届くと思います。とはいえ、その役割や権限を理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。そこで今回は「総会」について解説。基礎知識はもちろん、出席率の低さに頭を悩ませる理事会役員の方に向けて参加意欲の上げ方なども紹介していきます。

      年1回の「通常総会」と必要時に開く「臨時総会」

      管理組合から選出された人が集う理事会は、マンション内の問題について「話し合う」機関です。一方で総会は、理事会で話し合った内容に関して、最終的な「意思決定を下す」最高機関。理事会の独断でお金の使い道などを決めることはできず、最終的には理事以外の区分所有者(マンションを購入した人)も参加する総会で、承認を得る必要があります。

      そんな総会で行うこととしては、主に次の通り。

      ・共用部の蛍光灯をLEDに変更するなど、日常的に発生する工事の予算承認
      ・「1年間このような活動をし、このようにお金を使いました」などの理事会からの業務や収支決算報告
      ・理事会役員の任命
      ・管理規約の見直し

      なお総会には定期的に開催される「通常総会」と、臨時で開催される「臨時総会」があります。総会の招集については、原則として理事長が実施。少なくとも毎年1回は、通常総会を招集することが、「区分所有法」というマンションに関する法律のなかで定められています。

      国土交通省が2018年に行ったマンション総合調査によると、総会を「年1回開催している」割合は90.4%にのぼります。ちなみに「年2回以上開催している」割合は7.6%と、極端に少なくなり、ほとんどのマンションでは最低ラインとなる年1回の開催としているようです。

      マンション総合調査(2018年度)

      可決要件は「普通決議」と「特別決議」で異なる

      総会での決議は、一般的な案件である「普通決議」と、共用部分の設備変更や建物の建替えなど重要案件に関する「特別決議」に分けられます。それぞれの議題と可決要件を見ていきましょう。

      通常議題は普通決議! 総会出席議決権の過半数以上で可決

      普通決議の対象となるのは、「理事会役員の選任および解任」や「決算や予算の承認」「管理費の決定および変更」など、マンション管理において一般に必要な事項です。

      総会に出席している区分所有者数の過半数以上の賛成で決議します。

      重要事項は特別決議! 議決権総数の4分の3以上で可決

      特別決議は、「共用部分の設備変更」「マンションの建替え」「管理規約の設定および変更」など、重要案件に関する議題が対象となります。

      決議には議決権の4分の3以上の賛成(特別決議)が必要です。ここでいう議決権とは、総会の出席の有無に関わらず、全ての区分所有者の数を指します。

      住戸を1戸につき議決権は1となるため、40戸あるマンションなら30戸以上の賛成が必要になるということです。

      出席者が少ないと「流会」に

      ここまで紹介したように、総会はマンションの管理方針を決める重要な場所です。ただ、総会に出席する人は少ないという現状もあるよう。

      事実、前文で紹介した国土交通省の調査によると、委任状や議決権行使書(賛成もしくは反対の意思を行使する書面)の提出者を除く総会への出席者の割合について、40%以下の管理組合が実に半数以上にものぼります。区分所有者は書面によって議決権を行使できるため、総会へ出席をしなくてもよいわけです。また区分所有者のなかには「議長(=理事長)一任」の委任状を出すケースもあり、理事長の判断に任せる人も多いようです。

      出席票に委任状や議決権行使書の数を含めても議決権総数の半数以上に満たない総会は、「流会」といって取り止めとなります。

      総会はどういった流れで開催されるのか

      総会の役割などがわかったところで、今度は総会を開催するまでの流れについて、順を追って見ていきましょう。

      ステップ①:理事会で審議する議題を検討
      総会前の準備として、管理会社とともに総会で審議をする事項を検討します。

      ステップ②:開催日時や議題を通知
      総会の招集について、区分所有法で「総会を開く日の少なくとも2週間前までには各区分所有者に通知しなければならない」と規定しています。また、同じく区分所有法には「総会ではあらかじめ通知した事項についてのみ決議をすることができる」とも定められているため、総会の開催日時を通知するだけでなく、議題としてあげる内容についても事前に知らせておく必要があります。

      ステップ③:出欠の確認
      住民から出席票を回収していきます。出席票や委任状の提出状況から、出席数などが総会の成立要件を満たしているかを確認し、未提出者へ提出の催促をします。

      ステップ④:総会を開催
      総会では報告された議題に対して、挙手により賛成か反対かの多数決をとる方法が一般的です。普通決議の場合、委任状や議決権行使書と賛成に手を挙げた人の数を合算して過半数を超えていれば可決となります。

      なお、区分所有法では総会の議事録を作成することが義務付けられており、理事長とその他2名の理事の署名・押印が必要となります。

      総会への参加意欲を高めるためには?

      総会へ足を運ぶ人の割合が40%以下の管理組合は、実に半数以上にものぼるというデータを紹介した通り、出席率の低さに悩んでいる理事会役員の方も多いのではないでしょうか。

      そこで、総会への住民の参加意欲を高めるためにはどうすれば良いのか。以降で紹介していきます。

      学校行事のある日程などを避ける

      確実に出席率を上げる方法はないものの、地域の小中学校の行事がある日は、総会の開催を避けるなどの工夫は効果的です。また、総会後に懇親会などを設けておくと「せっかくの機会だから、ほかの住人さんとも話したい」と思う方が参加している可能性もあるでしょう。

      総会のための「説明会」を実施する

      説明会

      いきなり「総会に出席してください」といわれても、とくに入居後はじめて参加する方などは当事者意識を持ちにくいといえます。

      そこで、総会の前に「配布資料の見方」や「どういったかたちで進行していくのか」などの説明会を実施してみましょう。「どうせ参加しても、よくわからないから」という理由で総会への関心が低下することを防げます。

      総会であがる議題の内容を理解してもらうためにも、管理組合や理事会の役割、管理費や修繕積立金の使い道なども事前に説明しておくといっそう理解が深まります。

      総会に参加しやすい雰囲気作りを

      まずは理事会のメンバーが中心となって、総会を含めたマンションの管理や運営に住民が参加しやすい場を作っていきたいところ。もちろんそのほかの区分所有者も、もし総会に出席できない場合はきちんと委任状を提出するなど、最低限の参加意識はもっていきましょう。

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