マンション総会の議案は取り下げできる? 開催後も可能?

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      議案の致命的な欠陥が明らかになった場合や、総会で議論が紛糾して議決を取れそうにない場合など、議案を取り下げたい状況となったらどうすれば良いでしょうか。

      すでに組合員に通知した議案を取り下げられるのか、取り下げられる場合にはどのように対応すれば良いのか解説します。

      マンション総会の議案は取り下げできる?

      議案を取り下げたい場合はどうすればいい?

      結論から言うと、総会の「開催前」であれば議案の取り下げは可能です。ただし、「開催後」には取り下げできるケースとできないケースがあります。

      「開催前」とは、議長が総会の成立要件を満たした旨を宣言する前のこと。成立要件は、議決権総数(総組合員数)の半数の組合員が出席すると満たされます。

      議長が「総組合員数○に対し、出席者○、議決権行使者○、委任状提出者数○、合計○の議決権数となっています。したがって、規約第○条第○項に定める総会成立の定足数を充たし、本会議が総会として成立することを確認しました」と宣言すると、総会は開催されるのです。

      また、詳しくは後述しますが、開催前後いずれの場合も議案を取り下げるには「理事会の承認決議」が必要となります。

      総会の「開催前」に議案を取り下げる方法

      取り下げには理事会の承認決議が必要

      総会がまだ開催されていないのであれば、下記の手順で取り下げられます。

      まず、議案の取り下げについて理事会で承認決議を取ります。一般的には、理事の過半数が賛成すれば承認となります。

      次に、各組合員に取り下げの旨を通知します。

      ただし、決定があまりにも直前で、総会当日までに取り下げの通知が行き渡らないケースもあるでしょう。その場合は、総会当日の総会成立宣言の前に取り下げる旨を出席者に宣言する必要があります。

      総会の「開催後」は取り下げが難しい

      議長が成立宣言を行い、議決が進行しているなかで議論の紛糾や疑義事項があった場合、議案を取り下げられるでしょうか。

      ここで問題になってくるのが、総会を欠席する人が事前に議案への賛否を通知する「議決権行使書」。総会成立時点で、議決権行使書により賛成が過半数に達していた場合、その議案はすでに「可決」したものとみなされます。

      出席者によって議論が紛糾し反対多数となっていたとしても、議決権行使書による賛成多数で可決されているため、取り下げはできないのです。

      なお、総会開催前であれば、そもそも総会の議題に上がっていない事項として扱われるため、議決権行使書による賛成多数であったとしても取り下げられます。

      また、議決権行使書だけでは過半数を超えていない場合でも、総会出席者と併せて賛成多数となっている議案は取り下げられません。一部の少数派の意見によって取り下げることは出来ないというわけです。

      決議事項を撤回したい場合にはあらためて臨時総会を開き、可決事項を取り消す議案をあげる必要があります。

      理事会側からの取り下げは容易

      組合員が総会を欠席する際には、委任状の提出をもって議長や理事長に賛否を一任するケースが多いです。

      つまり、委任状の提出が多い総会においては、賛否を一任された議長(理事長)が賛成を示さない限り、取り下げたい議案が賛成多数になりづらいと考えられます。総会の運営側(理事会側)としては、比較的容易に議案を取り下げられる状況でしょう。

      組合員個人や少数派による取り下げは、議案そのものに不備や欠陥が無い限り難しいと言えます。

      総会開催前なら取り下げは可能

      理事会で取り下げの承認決議をとり、その旨を組合員に通知すれば、議案の取り下げは可能です。

      ただし、総会当日までに通知が及ばない場合には、総会成立宣言の前に取り下げる議案について口頭で伝えましょう。

      議長によって総会の開催が宣言された後で、議決権行使書によりすでに賛成多数となっている場合には取り下げができません。また、議決権行使書と総会参加者の賛成が半数を超える場合にも取り下げはできません。

      どうしても賛成多数となってしまった議案を取り下げたい場合には、その決議内容を取り消す議案をあげ、臨時総会を開くなどして再度決議をとりましょう。

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