マンションの「ペット問題」を解決したい!

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      マンションでよくある困った問題をテーマにその解決方法を紹介していくこの連載、2回目となる今回は「ペット」について。ペットにつきもののニオイや抜け毛、鳴き声などが原因で思わぬトラブルに発展する可能性があります。では、ペットに関する問題に対してどのような対策を行っていけば良いのでしょうか。

      マンションはペットのトラブルが起きやすい

      少子化の続く日本では、15歳未満の子どもの数よりもペットの数のほうが多いという現実があります。総務省の発表によると、2019年4月1日現在の子供の数(15歳未満人口)は約1533万人。一方で、一般社団法人ペットフード協会の2019年度調査によれば、犬猫の飼育頭数合計は約1857万頭と、15歳未満の人口を大きく上回ります。

      また、最近では築年数の浅い分譲マンションを中心に、「ペット飼育可」の物件が増えてきました。国土交通省が行った2018年度マンション総合調査によると、全面的に認めているマンションこそ4.1%とまだ少ないですが、種類・サイズ等を限定したうえでペットの飼育を認めているマンションは全体の49.3%。つまり、制限の有無を別とすれば、実に半数以上のマンションでペットの飼育が認められているのが現状です。

      ペットが飼えるマンションが増えてきたことで、人間と動物の距離はさらに縮まってきているように感じます。

      一方で、当たり前のことですがペットを歓迎する人もいればそうでない人もいます。そこでペットを飼っている人とそうでない人とが共同で生活できるように、ペット可のマンションでは、飼い主が守るべきルールを定めた規約があるところがほとんどです。

      ただ「共用部分ではペットを抱くかカゴに入れて持ち運ぶルールなのに歩かせていた」や「ロビーや廊下にフンが落ちていた」など、ペットに関する規約やマナーをきちんと守らない飼い主がいると、それが苦情の原因となります。

      とくに、多様な価値観を持つ住民が1つの建物内で暮らすことになるマンションは、ペットに関するトラブルが起きやすいといえます。

      統計トピックスNo.120 我が国のこどもの数 -「こどもの日」にちなんで- (「人口推計」から) 2019年(令和元年)全国犬猫飼育実態調査 結果

      ルールの明確化やペットクラブの設立でトラブル回避

      ではペットのトラブルは、どうやって回避していけば良いのでしょうか。

      当然のことですが、飼い主は各マンションごとに定められているペットに関する規約を守ることが大前提です。規約についてはエレベーターでの乗り降りの仕方や飼育できる動物の種類や数を限定するなど、ルールが明確であるほど飼い主の行動も統制されるため、トラブルになりにくくなります。

      規約を守らない場合、ペットの飼育を禁止するなどの罰則を規定することも可能で、対策を講じることも有効ですが、一方で、ペットの飼い方について規約を定めたとしても、マナー違反やしつけの不徹底などによりトラブルが発生してしまうこともあります。そこで最近では「ペットクラブ」を設立するマンションもでてきています。

      ペットクラブとは、理事会とは別に、ペットの飼い主によって構成される組織。飼い主のマナーやしつけを向上させる活動や、ペットに関する苦情の受付窓口としての役割も担います。管理規約のなかで、ペットを飼育する場合はペットクラブに加入しなければならない旨を定めているマンションもあります。

      ペットクラブの活動によって飼い主のマナーが向上すれば、規約を破る人も減る可能性があります。さらにペットに関する苦情窓口が一本化されることで、管理組合や理事会の業務負担が減ることにつながります。管理組合側も「ペットを飼っている人だけ勝手にやってください」ではなく、ペットクラブの活動と連携して支援をすることで、結果的に住民全員の快適なマンション暮らしにつながるはずです。

      “ペットトラブル”も人間関係を良好に保つことが大事

      ペットの飼育を歓迎しない人のなかには、犬や猫が嫌いなわけではなく、それよりも「ここはペット飼育可のマンションなんだから文句はないでしょ」といった飼い主の態度に腹を立てる人もいます。つまり、ペットそのものが引き起こす問題だけでなく、飼い主とそうでない人同士、いわば人間関係のもつれが問題をトラブルにまで発展させてしまうこともあります。

      こういったトラブルはもちろん当人同士で解決できれば良いのですが、とはいっても感情同士がぶつかり合ってしまうと、お互いが冷静になれずに話が発展しないこともあります。そんなときは理事会や管理会社に相談するのでもよいですし、あるいは顔見知りになったほかの住民の方に相談するのもよいでしょう。同じマンション内でいざ何か困ったときに相談できる相手をつくっておくためにも、「おはようございます」「こんにちは」など、日頃からちょっとした声かけで人間関係を良好に保つことは大事だといえそうですね。

      次回、3回目の連載は「駐車場」をテーマに、無断駐車や当て逃げなどのトラブルを解決する方法を解説していきます!

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      この連載について

      【連載】

      これで解決!マンション暮らしのトラブル

      複数の世帯が生活を送る分譲マンションでは、共用スペースの使い方やペットの飼育、ゴミ捨て場における利用マナーなど、思いがけないトラブルに遭遇する可能性があります。そこで、本連載『これで解決! マンション暮らしのトラブル』では、マンションでよく起こる困った問題の解決方法をテーマごとにご紹介。トラブル発生の防止や、万が一起こってしまった際の対応マニュアルとしてもご活用ください!
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