足場代は意外と高額! なぜ必要? コストを抑えるには?

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      大規模修繕を控えた皆さんに向け、修繕工事のいろはを説明していくこの連載。今回は足場工事の相場や、コストを抑える方法について解説していきます!

      そもそも足場工事とは? なぜ必要なの?

      足場工事を行うマンション

      外壁の塗装や修繕など、とくにマンションの外観に関わる大規模修繕を行うとき、必要となるのが足場です。

      足場を組む理由としては次の通り。

      ・高所での作業ができるようになる
      ・建物の上下を何度も移動できて、作業の効率化につながる
      ・作業員の安全確保
      ・飛散防止ネットを張ることで、外壁以外への塗料の飛び散りを防ぐ

      ただ後ほど紹介しますが、足場の設置を含む組み立て工事費用は、大規模修繕の全総工費の約2割に及ぶというデータも。そのため、比較的高額であることが知られています。

      マンションの足場工事は1週間以上かかるケースも

      一般的な戸建住宅の場合、足場工事の設置は数時間程度で済みます。ただ、マンションなどの大規模な建物となると、1週間以上の工期が想定されるケースも。

      目安をお伝えしておくと、30~50戸前後の比較的小規模のマンションなら10日~2週間ほどかかります。100戸を超える、とくに規模の大きいマンションであれば、2~3週間はかかると想定しておいたほうが良いでしょう。

      さらに、足場の解体には設置期間の1/3ほどの工期がかかると言われています。

      足場の設置を含む「組み立て工事」費用はどのくらい?

      飛散防止用ネットで覆われたマンション

      マンションの大規模修繕を行う前に、設置をするのは足場だけではありません。塗料が飛び散らないように飛散防止ネットで足場を覆ったり、作業に必要な事務所や簡易トイレなどを設置したりもします。

      国土交通省の調査(2017年)によると、そんな組み立て工事全体にかかる費用は、大規模修繕で発生する全工事金額の内訳のうち19.2%。1戸当たり14.4〜24万円がだいたいの費用感だと考えられます。

      国土交通省『マンション大規模修繕工事に関する実態調査について』

      単純計算すると、例えば40戸あるマンションなら、全体の費用は576〜960万円程度。建物の構造や実際の状況、施工会社によって費用は前後しますが、少なくとも組み立て工事だけで数百万以上はかかるといえそうです。

      費用はどうやって計算する?

      足場の費用は「足場架面積 × 平米単価 = 足場費用」の計算式を使って求めます。

      「足場架面積」とは足場をかける面積のこと。「(マンションの外周 + 8m) × 高さ = 足場架面積」で計算できます。

      例えば、6階建てのマンションの外周が92m、高さが20mの場合
      (92m + 8m) × 20 = 2,000㎡
      が足場架面積となります

      「平米単価」とは1㎡あたりの足場の単価のこと。だいたいの相場は1,800~2,300円程度です。

      ただ、正確な金額は業者に見積もりを依頼して確認する必要があります。

      仮に足場架面積が2,000㎡で、平米単価が2,000円だとすると
      2,000㎡(足場架面積 ) × 2,000円(平米単価) = 400万円
      が足場の費用となるわけです。

      業者から受け取った見積書と比較すると、適正金額も見えてくるかもしれません。

      足場の設置費用を抑える方法は?

       足場設置費用を抑える方法

      高額になりがちな足場の設置費用を抑える方法として、主に以降の3つがあげられます。

      【方法1】複数の業者へ見積もりを依頼する

      足場の設置に限らず、修繕工事では複数の業者に見積もりを依頼すると、費用を抑えられる可能性があります。

      競争原理が働くのはもちろん、各見積もりを比較することで適正価格が把握できるためです。

      ただ、足場の費用が安くとも、外壁塗装などメインの工事費用が高ければ意味はありません。そのため、あくまでもトータルでいくらかかるのか、確認しましょう。

      【方法2】修繕をまとめて行う

      大規模修繕では防水工事や塗装工事、シーリング工事やタイルの改修工事など、さまざまな工事を実施することになります。

      そのため仮に工事ごとに足場を組んで、解体をして…を繰り返していたら、必要な足場費用も膨らんでしまいます。

      できる限り工事を1回でまとめると、足場を組む回数も1回で済むため、節約できるかもしれません。

      【方法3】管理会社への丸投げを避ける

      【方法1】とも似た話ですが、管理会社に業者の選定などをお任せすると中間マージンが発生したり、競争原理が働いたりしません。それゆえ、足場の設置を含む修繕費用は高額になる可能性があります。

      修繕を行う施工会社の選定から管理組合主導で行ったほうが、結果的に費用を抑えられるでしょう。

      なお施工会社の選定方法は、連載3回目でも解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

      以上、今回は意外と高額な足場工事について、解説していきました。

      高所の作業を効率良く行ったり、従業員の安全性を確保したりするために必要な足場。とはいえ、大規模修繕費用の2割と、お金がかかる工程でもあります。費用を抑えるためにも、管理組合側で業者の選定からできると良いですね。

      次回は「防水工事」について、どのように行うのか、また業者を選ぶときのポイントなどを紹介していきます!

      イラスト:平松 慶

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      この連載について

      【連載】

      ついにやって来た!大規模修繕

      約12年に一度の周期で訪れるマンションの大規模修繕。住まう人々が安心して暮らすため、また、建物としての価値を維持するために、とても大切なイベントです。とはいえ、修繕工事などと言われてもピンとこない方がほとんどでしょう。この連載では、そのような方に向けて、修繕工事に向けた準備の進め方の一例を順を追ってレクチャー!みんなが納得できる工事となるように、しっかりと準備を整えましょう!

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