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マンション火災の原因と対策!損害賠償はどうなる?

日本では、毎年2万件前後の火災が起きている。そもそもの発生を未然に防ぐための取り組みも重要だが、火災が起きた時のために保険加入も大切となる

日本では、毎年2万件前後の建物火災が発生しています。火災は地震などの二次災害などでも起こり得ますが、多くの原因は居住者による失火となっています。

今回は、火災発生の主な原因や、マンションでできる防止方法、発生してしまった際にすべきことについて解説していきます。

日本における火災の発生状況

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日本全国で2023年に発生した火災のうち、建物火災の件数は2万974件。そのうち、共同住宅の火災は3712件と約17.7%を占めます。

同じ年に東京都で発生した共同住宅での火災は1091件。そのうち、高層共同住宅での火災は213件でした。11階以上の高層階から出火したケースは65件と、高層マンションでの火災も他人事ではない状況になっています。

マンション火災の主な原因3つ

【1】ガスコンロ

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住宅火災の原因として、最も多いものはガスコンロからの出火で、共同住宅での出火原因のうち約2割を占めます。 「少しの間だから」と鍋に火をかけたままキッチンを離れ、火災が発生してしまうケースが多いようです。コンロで調理をしているときは火元から目を離さないようにしましょう。

キッチン周りの整頓も重要です。コンロの近くに燃えやすいものを置いたり、上にふきんなどを干したりしないようにしましょう。また、火災が発生すると油が染みこんだ換気扇や壁、魚焼きグリルなどに引火する危険性もあるので、こまめな掃除も重要です。

特に火が激しくなりやすいのが、揚げ物を調理しているとき。過熱防止装置が付いたコンロを導入するのが安心です。また、調理中と同様に、凝固剤を使う際もそばを放れないようにしましょう。なお、天ぷら鍋から出火している場合、水をかけると炎が拡大し延焼のおそれがあります。初期消火には、住宅用の消火器やエアゾール式の消火器を使いましょう。ただし、炎が天井に達していたら、避難が最優先です。

【2】たばこ

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ガスコンロに次いで多い出火原因はたばこで、割合は15%ほど。寝たばこや吸い殻から発火した事例が多くあります。

ベッドや書斎まわりなどの可燃物がある場所でタバコを吸うのは危険なため、火災の多い冬から春にかけては特に注意喚起をしておくのも良いでしょう。

【3】ストーブ

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管理組合で火災の被害を抑える方法

火災警報器の定期点検

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マンションでの火災被害を防止するために管理組合が取れる対策はいくつかあります。

例えば、火災警報器の定期点検は重要です。火災警報器は、火災発生時に住民に警告する役割を果たします。火災を早期に発見できれば、消防への通報も迅速に行うことができ、被害拡大を防げます。

警報器が正常に機能しないと人命や財産への危険が高まるので、定期点検や交換のスケジュールや費用についても考慮しておきましょう。

【2】避難設備の確認

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マンションでは、建築基準法や消防法で避難設備の設置が義務付けられています。非常時に避難通路や出口を示す誘導灯や、停電時に点灯する非常用照明、建物から脱出するための避難器具など、避難設備の確認も重要です。

多くのマンションでは、各階の一番端にある住戸のベランダに避難ハッチが備えられています。避難の際は隣室との境界に設置されている隔て板を蹴破って避難ハッチまで移動するため、居住者に隔て板の前に荷物を置かないよう呼びかけておくのも防災効果があります。

【3】定期的な避難訓練の実施

設備点検のほかに、定期的な避難訓練の実施も重要です。居住者50人以上のマンションは年1回程度、施設内に飲食店が入っている複合型マンションは年2回以上の定期的な防災訓練が義務付けられています。

防災訓練の実施のためには、防災マニュアルの策定が必要です。自治体によっては作成の手引きを配付しており、居住者がしておくとよい災害準備から、管理組合としてマニュアルを作成する手順まで記載されているので、まずはチェックしてみましょう。

ただし、参加者を集めるのが困難であるため、多くの管理組合では、防災訓練がスムーズに実施できていないのが実情です。防災マニュアルを策定しても、居住者に浸透させなければ効果は発揮されません。

【4】高齢者がいる世帯には注意喚起を行う

住宅火災による死者1023人のうち、65歳以上の高齢者は762人と、全体の約75%を占めます。高齢になると、青い炎が見えづらくなったり、うっかりが増えたりして、鍋を火にかけたままにしてしまうなど、失火の可能性が高まる傾向があります。

そのため、高齢者世帯には貼り紙や呼びかけなどで注意喚起を行いましょう。

また、住宅火災では逃げ遅れて亡くなってしまう高齢者の方が多くいらっしゃいます。火災から避難すること自体が難しいため、防災訓練や注意喚起によって予防を図りましょう。

マンション火災が発生したときにすべきこと

火事の発生を知らせる

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マンション内で火災が発生してしまったら、なるべく迅速に周囲の居住者に知らせ、避難することが最重要。

出火しているところを発見したら、まずは周囲の居住者に知らせなければなりません。大声で叫ぶほかに、非常ベルやアラートなどで全体に周知しましょう。

また、マンションから脱出したら、ただちに119番で消防に通報します。通報では、自分の名前、マンションの住所、近くの目印、自分の電話番号を伝えます。電話に出た署員の指示に従い、落ち着いて答えましょう。

鼻と口を覆う

火災からの避難では、鼻と口を覆い、低い姿勢で行いましょう。

煙や炎は下から上へと動きます。低層階から出火していると、高層階では火が見えなくても煙が充満する場合があります。煙は一酸化炭素を含む有毒なガスであるうえ、温度が高く吸い込むと火傷を負う可能性もあり、非常に危険です。

なるべく煙を吸わないよう、ハンカチやマスクなどで口を覆い、這うくらいの低い姿勢で避難しましょう。

非常階段やハッチを利用する

高層マンションには、非常用エレベーターが設置されています。ただし火災発生時には停電や自動停止によって動かなくなってしまう可能性もあります。

火災からの避難ではエレベーターは使用せず、基本的には階段か避難ハッチを使用するようにしましょう。

マンション火災での損害は保険でカバーできる

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火災は、自身だけではなく他の居住者の生命や財産を奪ってしまう可能性があります。ただし、火災で他人に損害を与えてしまった場合も、重大な過失がなければ損害賠償責任を負うことはないと、「失火法」で定められています。

重大な過失とは、危険と分かっていながら寝たばこを続けた場合や、天ぷら油の入った鍋をこんろにかけたままキッチンを離れた場合など、わずかな注意さえ払っていれば予見や防止ができた場合です。通常の過失の範囲では、火災を起こした居住者が損害賠償責任を追うことはありません。

火災による損失は、主に火災保険で補償されます。エントランスなどの共用部分は、管理組合が加入する保険でカバーできます。類焼損害補償特約を付ければ、近隣への延焼被害の補償も可能です。専有部分は、各居住者が加入する保険で補償を受けることになります。

マンション火災の損害額は数千万円規模になる場合もあるため、保険への加入は前向きに検討しましょう。

定期的な点検と注意喚起で火災被害を防止

火災の発生件数は非常に多く、全国で1日に50件以上起きている計算になります。いつ自分たちのマンションで火災が起きてもおかしくないでしょう。

火災の発生を防ぐためには、各世帯への注意喚起や定期的な避難訓練を実施し、居住者の防災意識を高めておくことが効果的です。また、火災の被害を最小限に抑えるために、火災警報器や避難設備も定期的に点検する必要があります。

火災が発生してしまった際は、まずは周囲の居住者に知らせ、なるべく迅速に避難しましょう。原則として、火災を起こした居住者に責任はありませんが、専有部分と共用部分で補償範囲が異なるので確認が必要です。

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