マンションでよくある困った問題をテーマに、その解決方法を紹介していくこの連載。今回は「不審者」によるトラブルに目を向けたいと思います。
マンションに「不審者」が侵入すると、住民や設備が危険に晒されるかもしれません。
そこで今回は不審者の手口や対処法について紹介します。
不審者の侵入は重大な被害に発展し得る

マンションで起こるトラブルのなかでも、特に恐ろしい部類に入るのが不審者の侵入です。不審者は、空き巣やストーキングなどの犯罪行為を目的としている可能性があるため、十分に注意しなければなりません。
一見、何かしている様子がなくても、実は今後の犯罪計画のための下見をしている場合もあり得るでしょう。昨今は動機が不明瞭な事件も多く発生しているので、住民の安全を守る観点からも、不審者に対する警戒と対処が求められます。
本来であれば、マンションの敷地内に関係者ではない人物が不当に立ち入るのは、住居侵入罪に当たる行為です。マンションの場合、住戸の内部にまで入らずとも、部外者がエントランスや共用廊下に入っただけでも住居侵入罪に該当します。
不特定多数の住民が居住するマンションでは、不審者が侵入しても住民なのか部外者なのかを判断するのは容易ではありません。その点を利用して、マンションを狙う空き巣などもいるので、被害を未然に防ぐための対策をするべきです。
有効な対策はセキュリティのグレードアップ

エントランスが、人通りの少ない暗い道に面しているマンションは、強盗や空き巣に狙われやすい傾向にあります。このような立地のマンションは、第三者による侵入防止のためにセキュリティ対策を検討しておくべきでしょう。
不審者への対策として最も効果的なのは防犯カメラの設置です。侵入者からすれば、顔や服装、エントランスを出入りする場面の一部始終をカメラで記録されるのは犯行の確たる証拠となるため致命的です。そのため、防犯カメラがあれば侵入を断念させる効果が期待できます。
カメラの死角を突いて侵入を試みる不審者もいるため、できるだけ広範囲が映るように設置位置には注意しましょう。
また、不審者は夜間の暗がりに紛れて侵入を企てるケースもあるため、エントランス付近の照明を明るくする、人感センサー機能のあるライトを設置するなどの対策も効果的です。
マンションのエントランスがオートロック式だとしても、セキュリティが万全とはいえません。不審者がエントランスのすぐ近くで待ち構えて、住民がマンションを出入りする際に開いたドアを通って侵入する「共連れ」という方法があるためです。
共連れを防ぐためには、住民の意識のアップデートが有効な対策となります。エントランスを通る際に後ろを振り返る、付近でドアが開くのを待ち構えているように見える不審な人物がいる場合は、「お先にどうぞ」と声がけするといった行動が、侵入を試みる不審者への牽制となるでしょう。
また、工事費用が発生しますが、エントランスのオートロックをエレベーターに連動させる方法も効果があります。この機能があると、エントランスのインターホンを利用して、宅配業者などを装い住民に鍵を開けてもらってマンションへの侵入を試みる不審者に有効です。インターホンで解錠をしてマンション内部に入った人物は、エレベーターに停止制限がかかり、インターホンでやり取りした相手の住戸があるフロアにしか行けなくなります。そのため、業者などを装ってエントランスを解錠させて、マンション内を物色して回るといった先々の犯行につながる行為への対策となるのです。真っ当な要件がある業者や来訪者は、別の階にいけなくても困らないので、機能による弊害も起こらないでしょう。
エントランスとエレベーターの連動工事の費用は50万円〜150万円が目安とされていますが、マンションの規模に応じて工事費用が変わります。それ以外にも、エレベーターが旧式であったり、エレベーターの台数が多かったりすると、費用が高額になっていきます。
オートロックがないマンションは、誰でも容易にエントランス内部に侵入できてしまう環境です。そのため、不審者が住戸の玄関ドア付近まで近づきやすくなっており、玄関の戸締まりには特に注意が必要です。
また、郵便ポストを定期的に確認し、郵便物を溜めこまないことも大切です。窃盗目的の不審者は住民の生活状況を細かく観察して、侵入しやすいターゲットを探します。郵便物が溜まったポストを見ると、長期間不在にしていると推測され、狙われてしまう可能性が高まるかもしれません。
不審者対策をマンションに浸透させよう
防犯設備だけでなく、住民や管理組合の意識のアップデートも効果を発揮します。例えば、上述の共連れへの対策について住民一人ひとりが理解し、不審な場面に遭遇した際に適切な行動を取ることができれば、不審者の侵入防止につながるでしょう。住民の意識を高めるためには、住民に向けた「不審者対策マニュアル」の作成や注意喚起のためのセミナーをマンション管理組合が主導して実施するといった方法が考えられます。
エレベーターとオートロックが連動していないマンションであっても、来客や配達業者への対応ルールを明確にして、住民全員に共有していれば、不審者を侵入させにくい環境がつくれます。
不審な人物を見たらすぐに理事会や管理会社に知らせるなど、不審者への対策を体系化して、住みよい安全なマンション管理を進めて行きましょう。
イラスト:カワグチマサミ

