「マンション理事会役は、仕事や家庭の事情で断っても大丈夫?」
「断ることで、ペナルティやデメリットはあるの?」
マンション理事会役員を務めたことがない方の中には、輪番制でマンション理事会役員が回ってきた場合の辞退について不安に感じている方は多いのではないでしょうか。
結論からいうと、マンション理事会役員の就任を拒否すること自体は可能です。ただし、拒否することで住民間の関係に影響が出たり、マンションによっては協力金の支払いが求められたりするケースもあるため、注意が必要です。
この記事では、理事会役員の輪番制の仕組みから、拒否した場合どうなるか、断るときの正しい伝え方まで詳しく解説します。
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マンション理事会役員の選出方法には、主に「輪番制」「立候補制」「推薦方式」の3種類があります。
それぞれの特徴をまとめると以下の通りです。
| 選出方法 | 特徴 | メリット | デメリット |
| 立候補制 | 自ら希望して理事会役員になる方法 | ・意欲のある人が就任するため運営がスムーズ ・知識や経験を活かしやすい |
・特定の人に負担が偏りやすい ・毎年同じ人が務める場合、ワンマンな運営になりやすい |
| 輪番制 | 区分所有者が順番に担当する方法 | ・公平性が高い ・負担を分散できる |
・意欲や知識に差が出やすい ・消極的な運営になることがある |
| 推薦方式 | 周囲の推薦により選出される方法 | ・適任者を選びやすい ・信頼関係を前提に運営できる |
・辞退される可能性がある ・人間関係に影響が出ることがある |
多くのマンションでは輪番制が採用されており、あらかじめ決めた順番に従って全区分所有者が持ち回りで理事会役員を担当します。
公平性の高さが最大のメリットですが、消極的な姿勢の人が就任すると、理事会の運営が停滞するリスクも伴います。
マンション理事会役員の輪番制は拒否できる?
マンション理事会役員への就任を拒否すること自体は可能です。法的な強制力はなく、拒否したからといって直ちに罰則を受けるわけではありません。
ただし、拒否することは推奨されません。
分譲マンションを購入した時点で、区分所有者は管理組合の組合員となります。管理組合の活動はマンションの資産価値と住民共有の財産を守るために欠かせないものであり、理事会役員はその中核を担う存在です。
輪番制の場合、遅かれ早かれ順番は回ってくるものです。その場しのぎの拒否を繰り返さずに、いざ担当になったときには責任を持って対応する姿勢が、長く快適に暮らすために重要です。
マンション理事会役員の輪番制を拒否するとどうなる?

輪番制で理事会役員を拒否した場合、基本的には次の順番の人に担当が移ります。
ただし、拒否する人が続出すると、現任の理事会役員の任期延長を検討せざるを得ない状況になることもあります。
また、拒否した住民に対して、他の役員や住民が不公平感を抱くケースは少なくありません。
正当な理由がないまま拒否を続けると、日常的なコミュニケーションや住民間の関係に悪影響が出る可能性も念頭に置いておきましょう。
マンション理事会役員の輪番制を拒否した場合のペナルティ

理事会役員への就任を断っても、法的な罰則はありません。
ただし、役員辞退者に対して「役員辞退協力金」の支払いを管理規約で定めているマンションもあります。
役員辞退協力金の金額はマンションによって異なりますが、年額数万円程度を設定しているケースが多いようです。
お金を払えば拒否できると安易に考えるのではなく、管理組合全体の運営を支える立場として、できる限り協力する姿勢を持つことが望ましいといえます。
なお、自分のマンションの管理規約に役員辞退協力金の定めがあるかどうかは、事前に確認しておくとよいでしょう。
マンション理事会役員の輪番制を断るときの伝え方
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やむを得ない事情でマンション理事会役員を断らなければならない場合は、以下の3点を意識しましょう。
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・早めに相談する
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・辞退理由を具体的に説明する
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・代替案を提案する
相手に誠意が伝わる伝え方を心がけることで、他の住民の理解を得やすくなります。
早めに相談する
理事会役員を辞退したい場合は、できるだけ早い段階で理事会や管理会社に相談しましょう。
選任後すぐに相談することで、理事会側が次の対応を検討しやすくなります。
直前になって「やはり無理です」と伝えると、理事会運営や総会準備に影響が出るだけでなく、感情的な対立を生むことにもなりかねません。
早めの相談が、円満な解決につながります。
辞退理由を具体的に説明する
理事会役員を辞退せざるを得ない具体的かつ客観的な事情を、誠実に説明しましょう。
「忙しいから」「なんとなく大変そうだから」といった曖昧な理由では、他の住民の理解を得るのは難しいでしょう。
理事会役員を引き受けている他の住民にも当てはまるような一般的な理由も、説得力に欠けます。
また、嘘をついたり言い訳がましい説明をしたりすると、他の住民が不信感を抱き、関係が悪化するリスクがあります。
認められやすい具体的な理由については、後述の「マンション理事会役員を断る理由として認められやすいケース」をご参照ください。
代替案を提案する
積極的に代替案を示すことで、管理組合の理解を得やすくなります。
理事会役員以外の形で協力できることがあれば伝えましょう。一部業務のみ協力するなど、柔軟な関わり方を相談することも有効です。
引き受けられない事情が解消される時期がわかるようであれば、その見通しも伝えておくと、今後の信頼関係を守ることにつながります。
マンション理事会役員を断る理由として認められやすいケース
すべての辞退理由がスムーズに受け入れられるわけではありませんが、以下のようなケースは、管理組合や他の住民から理解を得やすいとされています。
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・健康上の理由がある場合
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・長期不在・遠方に居住している場合
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・介護や看病など家庭の事情がある場合
健康上の理由がある場合
病気や体調上の問題により、理事会役員としての業務を行うことが難しい場合は、辞退が認められるケースが多いです。
通院や療養が必要な状況、体調面で会議への出席や業務対応が難しい場合などが該当します。
ただし「高齢だから」というだけでは認められにくいこともあるため、「足腰が悪く外出が困難」「耳や目の問題で議論への参加が難しい」といった具体的な事情を伝えるとよいでしょう。
長期不在・遠方に居住している場合
海外赴任や長期出張、単身赴任などでマンションに常時居住していない場合は、辞退理由として理解を得やすいです。
会議への参加や緊急時の対応が物理的に難しい状況であることを具体的に伝えることで、管理組合からも納得を得やすくなります。
介護や看病など家庭の事情がある場合
家族の介護や看病が必要な状況も、辞退理由として理解されやすいケースのひとつです。
親などの介護負担が重く理事会役員との両立が現実的に難しい場合や、家族の病気・入院などで生活環境が大きく変化している場合は、その事情を丁寧に伝えましょう。
マンション理事会役員の輪番制の辞退を防ぐポイント

辞退者が出にくい環境をつくるためには、以下のポイントを意識しましょう。
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・理事会役員の仕事内容を事前に共有する
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・理事会の業務を分担・効率化する
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・理事会役員に報酬を支払う
- ・管理会社や専門家を活用する
理事会役員の仕事内容を事前に共有する
理事会役員の仕事内容は、事前に住民に共有しておきましょう。
「理事会役員は大変そう」というイメージが先行してしまい、就任を敬遠する住民は少なくありません。
理事会の役割や年間スケジュール、実際の業務量を具体的に示すことで、不安を緩和できます。
「実際にはそこまで大変ではない」と理解してもらうだけで、辞退者の減少につながることがあります。
理事会役員の業務を分担・効率化する
理事会役員の業務の分担や効率化にも注目しましょう。
理事長や特定の役員に業務が集中すると、負担感から辞退者が増える原因になります。
役員ごとに担当業務を明確に分け、業務の属人化を防ぐことが重要です。
また、オンライン理事会の導入やITツールの活用により、業務を効率化することも有効な手段です。
会議のたびに集まる必要がなくなることで、多忙な住民も参加しやすくなります。
理事会役員に報酬を支払う
理事会役員に報酬を支払うことも、辞退を防ぐ有効な手段のひとつです。
国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」によると、管理組合があるマンションのうち、理事会役員に報酬を支払っているのは約23.1%です。
特に築年数が古いマンションや、戸数が少ないマンションで報酬を支払っているケースが多いようです。
月額平均は3,900円程度で、理事会役員間で報酬が一律でない場合、理事長は約9,500円、理事は約3,900円、監事は約3,200円となっています。
なり手が少なかったり辞退者が多かったりする場合には、不公平感を減らす手段として報酬制度の導入を検討してみるとよいでしょう。
参照:国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」 ,P26
管理会社や専門家を活用する
管理会社や外部専門家のサポートを積極的に活用することで、理事会役員の業務負担を大きく軽減できます。
例えば日常的な運営業務や事務作業など、理事会業務の一部を管理会社に委託することで、役員の負担を分散できます。すべてを理事会だけで抱え込まず、適切に役割分担することが重要です。
また、マンション管理士や建築士などの専門家にアドバイスを求めることも有効です。専門的な知見を取り入れることで、判断の精度や安心感が高まります。
さらに、近年では外部専門家が管理者となる「第三者管理方式」を導入するマンションも増えています。
第三者管理方式では、理事会を設けずに専門家が管理を担うため、住民の役員負担を大幅に削減できる点がメリットです。
マンション理事会役員の輪番制を正しく理解し、責任を持って対応しよう

マンション理事会役員への就任を断ること自体は可能です。
ただし、法的な強制力はないものの、拒否の仕方によっては住民関係や管理組合運営に影響を及ぼすことがあります。
管理規約によっては役員辞退協力金が定められている場合もあるため、事前に確認しておくことが大切です。
やむを得ない事情でどうしても断らなければならない場合には、早めに相談し、具体的な理由を丁寧に伝えた上で代替案を示すことが、円満な解決につながるでしょう。
分譲マンションに住む以上、管理組合の活動はすべての区分所有者に関わることです。
特別な事情がない限りは、責任を持って理事会役員を引き受け、住みやすい環境づくりに参加する姿勢を大切にしましょう。
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イラスト:大野文彰

