
「大規模修繕の見積もりをもらったけれど、高すぎるような……」
と思ったことはありませんか。そんなときに検討したいのが大規模修繕のセカンドオピニオンです。
第三者の専門家に見積もりや工事内容をチェックしてもらうことで、価格の不当な吊り上げや必要な工事の不足といったリスクを防げます。この記事では、セカンドオピニオンのメリット・デメリットや専門家の選び方について紹介していきます。
それでももし、いきなりセカンドオピニオンを依頼するのが不安なら、以下のシミュレーターで大規模修繕費用を見積もってみるのも選択肢の一つです。
大規模修繕の適切さを第三者に判断してもらうのが『セカンドオピニオン』
「専門的な第三者に意見を求める」という意味でよく使われるセカンドオピニオン。大規模修繕工事ではおもに、管理会社や施工会社が提案する調査報告書や設計内容の正当性を外部の専門家に判断してもらうことを指します。
計画や設計、業者選定といった大規模修繕のプロセスは非常に複雑です。仮に管理組合で検証しようとしても、専門知識がないと大きな負担に。
そのため、管理会社やコンサルタントのサポートを受けながら進めるのが一般的ですが、すべてお任せしておけば安心、とは限らないのが現状です。
2025年3月以降、公正取引委員会は工事会社による大規模修繕の不正疑惑について調査を進めています。管理会社と施工会社が癒着し、ムダな工事を追加したり、価格を不当に吊り上げたりするリスクもゼロではありません。
そこで、第三者の専門家によるセカンドオピニオンを活用するという選択肢があります。大規模修繕の内容を客観的に検証してもらうことで、適正価格での発注や工事の透明化が期待できるでしょう。
セカンドオピニオンの4つのメリット
まずは大規模修繕でセカンドオピニオンを受けるメリットを見ていきましょう。おもなメリットは
・見積もりが適正額か、判断しやすくなる
・提案内容の妥当性をチェックできる
・業者選定の透明性を保てる
・住民の疑問や不安を解消しやすくなる
の4つ。それぞれ詳しく紹介していきます。
【メリット1】見積もりが適正額か、判断しやすくなる
大規模修繕の見積もりが適正かどうかの判断は、リアルな相場を知っていないと難しいところです。また、もし管理会社と施工会社が癒着している場合、不当な中間マージンが上乗せされているリスクもあります。
セカンドオピニオンで見積書を精査してもらえれば、見積もりが業界標準や市場価格とかけ離れていないかのチェックが可能です。さらに、第三者の介入により不当な中間マージンの牽制・排除も期待できます。
管理組合にとって修繕積立金は貴重な共有財産です。見積もりからムダな部分を排除することで、コストパフォーマンスの高い修繕工事が目指せます。
「セカンドオピニオンへの依頼を検討する前に、まずは自分たちで費用が高すぎではないかを知りたい」という人は、まずは無料の大規模修繕費用シミュレーターを活用してみるのもおススメです。

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【メリット2】提案内容の妥当性をチェックできる
セカンドオピニオンでは提案された工事の内容の見直しも行います。
大規模修繕の周期は12年程度と間隔が長いため、必須の工事が漏れているとその後のマンションの維持や運営に支障が生じる恐れも。
また、売上を得るため、工事会社が過剰な仕様や不要な工事を盛り込んでいる可能性もあります。管理会社と施工会社が裏で癒着していた場合、指摘する存在がいないため、不要な工事も通りやすくなってしまうでしょう。
第三者が工事の内容を見直せば、上記のような工事項目の漏れや過剰な提案も未然に防ぐことができる可能性があります。また、マンションの劣化状況をもとにした工事内容の精査も期待でき、費用の削減にもつながります。
【メリット3】業者選定の透明性を保てる
管理会社の主導で大規模修繕を進める場合、業者選定や価格決定のプロセスが不透明になりがちです。
例えば、業者選定には複数社に見積もりを依頼する方法や、公募や指名で企業を募り競争入札を行う方法などがあります。しかし、いずれも業者間で談合が行われる可能性を否定できません。
不透明性を排除するには、管理会社や施工会社と関係を持たない第三者による精査が有効です。セカンドオピニオンは業者選定の透明性や公平性を高めるうえで重要な役割を果たすといえます。
【メリット4】住民の疑問や不安を解消しやすくなる
セカンドオピニオンは住民の疑問や不安解消の面でもメリットがあります。
大規模修繕の実施には理事会だけでなく、区分所有者全員の合意形成が欠かせません。しかし、施工会社から提案される見積書や工事内容は専門知識を前提に書かれているケースが多く、妥当性や適切性を判断するのは容易ではありません。
独立した専門家による客観的な評価や助言があれば、区分所有者の工事内容に関する不安も減り、計画への理解や合意形成を進める助けとなるはずです。
セカンドオピニオンの3つのデメリット
ここまで、大規模修繕のセカンドオピニオンを受けるメリットを紹介してきました。一方で、注意すべきデメリットもいくつかあります。
・コストがかかる
・意思決定までに時間がかかる
・専門家選びが難しい
それぞれ詳しくみていきましょう。
【デメリット1】コストがかかる
セカンドオピニオンでは専門家やコンサルタントを雇うための費用が発生します。
金額は、専門家の種類や依頼内容に応じて変動します。依頼料が高額になった場合、セカンドオピニオンを含む全体の修繕費用が、当初の予定よりも増えるケースもあります。
セカンドオピニオンの依頼料が理事会の裁量範囲を超える場合は、総会での決議も必要になるでしょう。
【デメリット2】意思決定までに時間がかかる
セカンドオピニオンを導入するとスケジュールが長引く可能性もあります。
本来の工程に加えて、専門家による調査や分析、報告書作成、さらに管理組合が報告内容を検討して意思決定するなどというプロセスが発生するためです。
もちろん、慎重な調査や判断は大規模修繕を適切に行ううえで重要ですが、遅延は計画の見直しや住民の不満にもつながりかねません。
セカンドオピニオンを検討する際はなるべく早い段階から課題とし、全体のスケジュールに余裕を持たせておくことが大切です。
【デメリット3】専門家選びが難しい
専門家選びが難しい点も、セカンドオピニオンのデメリットの一つです。
セカンドオピニオンの質や改善効果は、依頼する専門家の能力や独立性に大きく左右されます。もし不適切な専門家を選んでしまうと、細やかなチェックや的確な助言が得られず、コストだけがかさんでしまう恐れもあります。
具体的な選び方については後述もしますが、実績や評判はもちろん、過去にどんな管理会社や工事会社と取引したか、利害関係はないかなども含めて慎重に確認する必要があるでしょう。
効果的なセカンドオピニオンのタイミングは3つ
セカンドオピニオンは実施タイミングも大切です。とくに
・提案内容に疑問があるとき
・コストが高すぎると感じたとき
・住民との合意が難航しているとき
の3つは、効果を発揮しやすいタイミングといえます。詳しくみていきましょう。
【タイミング1】提案内容に疑問があるとき
管理会社や施工会社からの提案に疑問を感じたらセカンドオピニオンの検討タイミングです。
例えば、見積もりの内容や金額に不明瞭な点が多い場合や、複数業者から届いた見積もり内容に差がありすぎて、どれが妥当かわからなくなった場合などは、第三者の専門家に判断を仰ぐといいでしょう。
また、管理会社が工事の元請けとなる責任施工方式など、進め方や段取りに違和感を持った際なども、第三者を立たせればプロセスの透明性を保つことができます。
【タイミング2】コストが高すぎると感じたとき
管理会社に大規模修繕を一任しているケースでは、前述のように意思決定や業者選定プロセスが不透明になり、価格が不当に吊り上げられてしまう可能性もあります。
提示された金額が異常に高く、
「中間マージンが上乗せされているのではないか」
「見積もり金額が水増しされているのではないか」
「談合など、入札プロセスに不正があるのではないか」
といったことが疑われる場合、セカンドオピニオンで相場との比較や適正価格の算出をしてもらいたいところです。
【タイミング3】住民との合意が難航しているとき
大規模修繕の計画について、理事会内や区分所有者間での合意形成が進まないときも、セカンドオピニオンが役立つ場合があります。第三者からの客観的な分析や調査結果を提示すれば、関係者の理解や納得も得られやすいはずです。
また、工事説明会の紛糾や施工会社との衝突が予想される場合、専門家に同席してもらうことで適切な助言などが期待できます。
セカンドオピニオン先の選び方
大規模修繕のセカンドオピニオン先はどのように選べばいいのでしょうか。
おもなポイントは以下の4つです。
・独立性と客観性
・資格と専門知識
・コミュニケーション能力とプレゼン力
・実績と経験
具体的にみていきましょう。
【ポイント1】独立性と客観性
まずポイントとなるのが、独立性や客観性を保っているかどうかです。
セカンドオピニオンの目的は、大規模修繕について第三者の目線で公平な意見をもらうこと。そのためには、特定の管理会社や施工業者、理事、区分所有者との利害関係があってはいけません。
もし専門家がいずれかの立場とつながっている場合、偏ったアドバイスや不適切な紹介料が発生するリスクもあります。
専門家が特定の立場に肩入れしていないかどうかは、セカンドオピニオン先の選び方でも最も重要な観点といえます。
【ポイント2】資格と専門知識
2つ目のポイントは、資格と専門知識の有無です。
一級建築士などマンションに関連する公的資格を保有している専門家であれば、セカンドオピニオンの導入や結果を報告する際にも、区分所有者の理解を得やすいといえます。
また、マンションや業界の現状に沿ったアドバイスをもらうためにも、構造や建材、工法、大規模修繕プロセスに関する深い知識を持っているかどうかもチェックしておきたいところです。
【ポイント3】コミュニケーション能力とプレゼン力
3つ目のポイントはコミュニケーションやプレゼンに関する能力です。
管理組合の要望や懸念をしっかり理解してもらえないと、スケジュールの遅延やコストの増加にもつながります。コミュニケーション能力が高く、スムーズな連携が期待できる専門家を選びましょう。
また、セカンドオピニオンには、専門的な分野で管理会社や施工会社に翻弄されないようにする、といった目的もあります。
業界にあまり詳しくない管理組合員や住民に対しても、複雑な技術的内容をわかりやすく説明できるか、論理的で根拠が明確な報告書を作れるかなど、プレゼン力の高さも判断基準の一つとなります。
【ポイント4】実績と経験
4つ目はこれまでの実績や経験の豊富さです。
セカンドオピニオンを依頼する際は、調査してもらうマンションと同規模・同種の大規模修繕に関する実績が豊富にあるかどうかを確認しましょう。
また、過去にコスト削減や品質向上に貢献したかどうか、ある場合は具体的な金額や事例もあわせて聞いておきたいところ。成功事例のポートフォリオなども確認できれば、より安心です。
カシワバラ・コーポレーションは大規模修繕の実績が豊富にあり、セカンドオピニオンの依頼も可能です。詳しい内容は、以下の実績資料をご覧ください。

カシワバラ・コーポレーションの修繕実績をまとめました
適正な大規模修繕のためにセカンドオピニオンを検討しよう
マンションの大規模修繕におけるセカンドオピニオンは、工事の透明性の確保や費用の適正化、工程漏れといったリスクの軽減など多くのメリットがあります。
およそ12年に1度の大規模修繕は、マンションの資産価値や住民の安全に直結する一大プロジェクト。管理会社や工事会社の提案を鵜呑みにせず、第三者の専門家から客観的な評価も参考にすることで、ムダの削減や正確な判断が可能になります。
セカンドオピニオンは単なるコストカットの方法ではありません。満足度の高い大規模修繕の実現や、マンションの長期的な価値を守る重要な投資といえるのです。
まずは自分たちにセカンドオピニオンが必要かどうか、セルフチェックから始めてみてください。