2024年3月、日銀のマイナス金利政策解除をきっかけに、日本の住宅ローンは「金利のある世界」に入りました。2026年に現在も、金融情勢の変化に伴い金利動向に大きな関心が集まっています。
「変動金利で借りているけど、これから大丈夫?」「今から借りるなら固定と変動、どちらを選ぶべき?」——金利上昇のニュースを見て、このような不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、金利上昇局面における変動と固定の考え方や損益分岐のイメージ、変動金利のリスク管理ルール、そして世帯ごとの選択のポイントについて、住宅ローン専門家の視点からわかりやすく解説します。
2026年、住宅ローン金利の現状と背景

2026年の住宅ローン金利は、政策金利の動き等を背景に変動・固定ともに注視が必要な局面にあります。主要銀行の店頭・適用金利において、変動金利は低水準を維持しつつも一部で見直しが見られ、固定金利(フラット35等)は先行して上昇しています。
大切なのは、「将来的な金利変動の可能性」を考慮した返済計画を立てておくことです。
「金利のある世界」で意識したいポイント
・変動金利と固定金利の金利差(スプレッド)の確認
・固定金利の安心感や金利リスクの再評価
・計画的な繰上返済や自己資金の活用の重要性
・状況に応じた借り換えや金利タイプ変更のシミュレーション変動金利の優遇幅が縮小傾向
変動金利と固定金利の損益分岐点(シミュレーションの考え方)
変動金利と固定金利のどちらが総返済額で抑えられるか(損益分岐点)は、単に「借り入れ時点の金利差」だけで決まるものではありません。返済期間全体を通じて「いつ・どれくらい金利が上昇するか」という変化の波によって結果が変動します。
損益分岐を左右する3つの要素
1.当初の「金利差(スプレッド)」: 借入時の変動金利と固定金利の差が大きいほど、金利上昇に対する「バッファー(猶予)」が生まれます。
2.金利上昇が始まる「タイミング」:住宅ローンの利息負担は、元金が多く残っている返済初期(前半)ほど大きく影響します。同じ金利上昇幅であっても、「借入直後に上がる場合」と「10〜15年経過して元金が減ってから上がる場合」では、総返済額への影響が大きく異なります。
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- 3.金利の上昇「速度」と「幅」:緩やかな上昇であれば当初の金利差メリットを維持しやすいですが、急激かつ大幅な上昇が起きた場合は、固定金利を選んでいたほうが総返済額で有利になるシナリオへと一気にシフトします。
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金利推移のシナリオ
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返済額・総負担への影響イメージ
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損益の考え方
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低金利状態が長く維持されるケース
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初期の低金利メリットを長期間享受できる
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変動金利が大きく有利になりやすい
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返済後半に緩やかに上昇するケース
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元金が十分に減った後での上昇のため、影響は限定的
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当初の金利差により変動金利が有利を保ちやすい
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返済初期〜中期に急上昇するケース
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元金が多く残る時期に利息が増加し、返済負担が急増
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固定金利(当初固定・全期間固定)を選択していたほうが有利になる
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つまり、「変動金利がどの程度まで上がるか」の予測が損益分岐点を決めます。
変動金利のリスク管理に関する3つのポイント
未払い利息のリスクを理解する
大幅な金利上昇があった場合、毎月の返済額のうち利息の割合が増え、元金の減りが遅くなるケースがあります。極端な上昇時には「未払い利息」が発生するリスクもあるため、仕組みを理解しておくことが大切です。
「5年ルール」・「125%ルール」の仕組みを知る
多くの銀行の変動金利(元利均等返済)には、金利が上昇しても5年間は毎月の返済額が変わらない「5年ルール」や、6年目の返済額増加を従来の最大125%までの「125%ルール」が適用されます。ただし、これは「毎月の支払額を据え置いている」だけであり、利息負担自体が免除されているわけではない点に注意が必要です。
繰上返済や手元資金の準備
変動金利を選択する場合は、金利上昇に備えて手元資金(余剰資金)を計画的に蓄えておくことが推奨されます。将来金利が上昇したタイミングで一部繰上返済を行える体制を整えておくと安心です。
「金利のある世界」での備え方・検討パターン
備え①|金利上昇リスクを抑えた商品・特約の確認
一部金融機関では金利上限が設定された商品などが提供されている場合があります(適用条件や取り扱いの有無は金融機関により異なります)。ご検討の際は各商品のメリット・デメリットを確認しましょう。
備え②|変動と固定の組み合わせ(ミックスプラン)
ペアローンや連帯債務、または単独ローンで「一部を変動、一部を固定」に分けて組む選択肢もあります。金利上昇リスクを分散しつつ、低金利のメリットも一部取り入れることが可能です。
備え③|早めのシミュレーションと見直し
一般的に、市場金利が上がり始めてから固定金利へ借り換えようとすると、固定金利が既に上昇しているケースが多くなります。金利動向が気になる方は、早めの段階で借り換えシミュレーションを行っておくことが大切です。
変動金利が向く人/固定金利が向く人

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変動金利が向く人
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固定金利が向く人
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手元資金に余裕があり、繰上返済等の準備ができる
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毎月の返済額を確定させ、家計管理を安定させたい
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世帯収入が安定しており、金利上昇時の負担増に対応できる
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お子さまの教育費のピークなど、今後の支出予定が重なる
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借入額が比較的少額、または返済期間が短めである
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来の金利上昇による不安を避けたい
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カシワバラ・アシスト 担当者の声

松隈 秀樹 (カシワバラ・アシスト 銀行代理事業室 室長)
貸金業務取扱主任者・宅地建物取引士・不動産コンサルティングマスター
2011年カシワバラ・アシスト入社/住宅ローン相談 累計1,000件以上
「『変動と固定のどちらが良いか』というご質問をよくいただきますが、一概にどちらか一方だけが正しいとは言えません。ご相談時には、現在の手元資金の状況、今後の教育費やライフイベント、万一の際の金利上昇に対する許容度などを総合的に伺っています。お客様ご家族にとって最も安心できるリスク配分をご提案させていただきます。」
よくある質問(FAQ)
Q. 今から変動金利で借りる場合、「5年ルール」「125%ルール」がない銀行を選ぶべきですか?
A. ご自身の家計の優先順位によります。ルールがない銀行(一部のネット銀行など)は、金利上昇時に毎月の返済額がタイムリーに変更されますが、その分元金の減りは計画通り進みやすいという特徴があります。一方、ルールがある銀行は毎月の返済額は一定期間保護される反面、元金の減りが遅くなる可能性があります。毎月のキャッシュフローの安定度と総返済額のどちらを重視するかで判断することがポイントです。
金利のある時代を、安心できる計画で歩むために
「金利のある世界」においては、変動金利・固定金利のどちらにもそれぞれの特徴と注意点があります。重要なのは、現在の金利水準だけで決めるのではなく、ご家庭の収支バランスや将来のライフプランに合った返済計画を立てることです。
※ カシワバラ・アシストでは、最新の金利動向を踏まえたシミュレーションや、お客様の家計の状況に合わせた最適な金利タイプの診断を行っております。「変動か固定か迷っている」「金利上昇時の影響を知りたい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。