マンションでよくある困った問題をテーマに、その解決方法を紹介していくこの連載。今回は「住民間のSNS利用」でのトラブルに目を向けたいと思います。
連絡網としての活用にも便利なSNSですが、弊害としてトラブルが起き得る場合もあるので注意が必要です。
このコラムでは、SNSグループを介して起こるトラブルを防ぐ工夫と、起きたときの対処法について紹介します。

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資料ダウンロードはこちらから住民間のSNS利用で起こるトラブルの例
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近年、ペーパーレス化やリアルタイムの情報共有に、LINEなどのグループ機能を活用するマンションもあります。連絡が素早く行き渡り、防災・災害時の安否確認や緊急連絡に役立つメリットがある反面、使い方を誤ると住民間の大きなトラブルに発展してしまうケースも少なくありません。
住民間のSNS利用で起こるトラブルには、おもに以下のような例があげられます。
【トラブル1】昼夜を問わない連絡や苦情メッセージ
代表的な内容として「深夜や早朝にメッセージが届く」といったトラブルが考えられます。マンションには生活リズムの異なる人が多く暮らしているため、昼夜を問わない連絡により精神的なストレスとなるケースもあります。
また、「生活音やゴミ出しマナーに関する苦情を夜間に連投される」といった特定の住民への不満がグループ内で拡散し、集団で責め立てる「吊るし上げ」に発展する悪質な例も見られます。
【トラブル2】プライバシーの侵害とアカウントの特定
個人のSNSアカウントを使用すると、アイコン写真(子どもやペット、趣味の画像)や表示名からプライベートが特定されてしまう危険性があります。晒し行為の被害などの原因になり得るため、個人情報につながる情報はできるだけ公開しないように注意しましょう。
【トラブル3】誤送信による人間関係の泥沼化
宛先を間違えて関係のない住民やグループ全体へメッセージを誤送信してしまうトラブルも多く見られます。本来送るはずのなかった家族とのやり取りや個人的な内容、あるいは他の住民への不満や愚痴が全体に流れてしまうと、送信者本人だけでなく受信した側も気まずい思いを抱えてしまいます。
一度送信された内容はスクリーンショット等で残るリスクがあり、深刻なトラブルへ発展する恐れもあります。
【トラブル4】匿名性を悪用した誹謗中傷や嘘の情報の拡散
マンション内のSNS利用に限った話ではありませんが、近年のSNSトラブルとして非常に多いのが、匿名性を悪用した誹謗中傷や嘘の情報(デマ)の拡散です。
事実とは異なる書き込みによって精神的に追い詰められてしまう人が出たり、近所同士の人間関係に亀裂が走ってしまったりするなど、軽い気持ちで行ったSNS投稿が住み心地を大きく損ねてしまう原因になっています。
いずれも住民間の関係性悪化の原因となり得るので、SNSの活用を推進する前に検討するべき内容です。
住民間のSNS利用でのトラブルへの予防策
SNSの利用によって便利になる点もありますが、上記のような新たなトラブルが懸念されます。住民間のSNS利用のトラブルはどのように予防できるのでしょうか。
ここからは、それらの懸念に対する予防策について考えていきましょう。
【予防策1】プライバシーを守れる仕組みを利用する
プライベートのアカウントを使用せず、名前や連絡先を変更して参加できる機能やツールの活用がおすすめです。例えば、LINEの「オープンチャット」はトークルームごとに専用のニックネームとアイコンを設定できるため、プライバシーが守られます。
参考:LINEみんなの使い方ガイド「オープンチャットを利用する」
また、プライバシーに配慮しつつ、住民同士の交流や非常時の連絡を円滑にできるマンション管理組合専用のITシステムもあります。住民のニーズや特色に合ったツールを導入しましょう。
【予防策2】非常時・防災専用ツールへ切り替える
普段から常時メッセージが飛び交う一般的なSNSではなく、災害時や非常時にのみ運用される専用ツールへ切り替える、または使い分けるのもひとつの手です。
例えば、地域やマンションの防災・安否確認に特化した連絡ツールや防災アプリであれば、平常時は静かな状態を保ちつつ、発災時のみワンタップで安否確認や要支援者の把握が行えます。日常的な雑談や苦情の連投が起きない仕組みになっているため、このようなツールを検討するのもいいでしょう。
【予防策3】使用目的の明確化と運用ルールの作成
非常時・防災専用ツールへの切り替えが難しい場合は、以下のような運用ルールの作成がトラブル防止に有効です。
・8時〜20時以外は緊急時を除き投稿禁止
・発信内容は「マンション住民全体に関わる連絡事項・防災情報」のみ
・理事会のメンバーのみ投稿可能
また、SNS内でトラブルや不満の話題が出た場合の対応を、運用ルールに盛り込むのもひとつの方法です。
・不満+改善案のセット投稿を推奨する
・「犯人探し」ではなく「ルール作り」に視点を向ける
・感情的な言葉遣いは控え、お互いを気遣う言葉を選ぶ
実際の事例でも、「マナーが悪い」という投稿から始まった議論が、住民同士の「みんなで解決していこう」という声かけによって前向きな解決へ向かったケースがあります。「問題提起は歓迎するが、攻撃的な発言はしない」「互いの立場を尊重する」といったポジティブな雰囲気を住民全体で作っていく意識が大切です。
トラブルが起きたら管理組合への相談や公的機関・専門家の活用を検討する
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誹謗中傷や嘘の情報(デマ)が投稿された場合は、感情的に言い返さず、画面のスクリーンショットなどの証拠を残したうえで、まずは理事会や管理会社に相談するべきです。個人間のトラブルへの直接介入は難しい場合もありますが、広報誌や掲示板を通じて「SNSのマナー遵守」や「投稿の注意喚起」をしてもらう等の効果が期待できます。
なお、個人の尊厳を著しく傷つける投稿や事件性の高い内容については、警察の相談専用窓口や弁護士などの専門家への相談も視野に入れましょう。
【注意】「便利だから」で始める前に確認したいポイント
住民同士の連絡や情報共有の手段として、気軽に作成・参加できるSNS。しかし、適切なルールがないまま導入してしまうと、かえって人間関係のトラブルを招く可能性があります。
導入や参加を決める前に、まずは使用目的や運用のルールが明確になっているかを確認しておくのが安心です。
以上、今回は住民間のSNS利用に関するトラブルと、その対処法を紹介しました。
SNSは気軽さが裏目に出る可能性も含みますが、本来はマンションでの暮らしをよりスムーズで快適にするための手段となります。住民全員が安心して暮らせるマンションづくりのために、運用の見直しを検討してみてはいかがでしょうか。
イラスト:カワグチマサミ

