「マンション大規模修繕は何から始めればいいの?」
「失敗しない進め方が知りたい」
マンションの大規模修繕は、住民の安全で快適な暮らしを維持するための重要なイベントのため、不安を感じる理事会・修繕委員会の方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、大規模修繕を成功させるカギは「正しい手順を理解し、計画的に進めること」です。
準備不足のまま進めてしまうと、費用の増大や住民トラブルにつながることもあります。
この記事では、事前準備から工事完了までの流れを10ステップでわかりやすく解説します。あわせて失敗しないための注意点も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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大規模修繕の進め方は、以下の10ステップです。
- 理事会とは別の専門チーム「修繕委員会」を立ち上げる
- 外部専門家への依頼を検討する
- 施工会社への依頼方法を選ぶ
- 建物調査・劣化診断を行う
- 修繕計画・資金計画を立てる
- 施工会社を選定する
- 総会決議と住民への説明を行う
- 着工する
- 竣工検査とアフター点検を実施する
- 理事会で慰労会などを開催する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.理事会とは別の専門チーム「修繕委員会」を立ち上げる
大規模修繕を円滑に進めるためには、理事会とは別に修繕委員会を立ち上げ、専任体制を整えることが重要です。
大規模修繕は検討開始から工事完了まで長期間にわたるうえ、専門的な判断も多く、通常業務を担う理事会だけで対応するには負担が大きくなりがちです。
修繕委員会を設けることで、大規模修繕に関する検討や情報整理を集中的に行えるようになり、意思決定の質やスピードも高まります。
委員は理事に限らず、立候補制で募ったり、建築や不動産に詳しい住民に参加してもらったりすることも可能です。
また、この段階で「本当に今修繕が必要なのか」「どの程度の規模で考えるべきか」といった根本的な確認を行っておくことで、後の工程がスムーズに進みます。
大規模修繕をマンションの住民全体で取り組む一大プロジェクトとして捉え、体制づくりから丁寧に進めていきましょう。
2.外部専門家への依頼を検討する
修繕委員会だけで大規模修繕を進めることに不安がある場合は、早い段階で外部専門家の活用を検討するのが有効です。
マンションの大規模修繕では、工事内容の妥当性や費用の適正さなど、専門的な判断が求められる場面が多く、経験の有無によって結果に大きな差が出ることがあります。
設計事務所や大規模修繕コンサルタントなどの外部専門家が関与することで、管理組合や施工会社から一定の距離を保った客観的な視点でアドバイスを受けられます。
特に施工会社選定や見積内容のチェックにおいては、大きな安心材料となるでしょう。
専門家を選ぶ際は、マンション大規模修繕の実績が十分にあるか、業務範囲と費用が明確に提示されているかを確認することが大切です。
負担を減らしながら、判断の精度を高めるための選択肢として検討してみてください。
3.施工会社への依頼方法を選ぶ
次に、施工会社への依頼方法を選びましょう。
大規模修繕では、施工会社そのものだけでなく「どのような発注方式を選ぶか」が、費用や進めやすさに大きく影響します。
一般的には、管理会社施工方式、設計監理方式、責任施工方式のいずれかを選択することになります。それぞれのメリット・デメリットは以下の通りです。
| 発注方式 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 設計監理方式 |
・第三者が診断・設計・工事監理を行うため、工事の品質が保たれやすい ・コンサルティング会社がアドバイスを行いながらフラットに工事業者を選定できる ・工事費用の適正性を確認しやすい |
・小規模な工事の場合は費用が割高になる可能性がある ・工事費とは別に、コンサルティング会社への支払費用が発生する |
| 管理会社施工方式 |
・窓口を管理会社に一括できるため、管理組合の負担が少ない ・アフターフォローの窓口も同じになるため、施工後に不具合が見つかった場合でも対応がスムーズになりやすい |
・施工会社が決まっている場合は競争原理が働かないため、工事費用が高額になる恐れがある ・管理会社と施工会社の関係が強い場合、管理組合側が詳細な内訳を把握しにくい |
| 責任施工方式 | ・中間マージンが発生せず、費用を抑えやすい |
・設計書の作成や施工会社の見極めなど、管理組合側の負担が大きくなる ・大規模修繕に詳しい組合員がいないと、良質な業者を選定するのが難しい |
それぞれの特徴を把握し、マンションの規模や修繕委員会の体制に合った方法を選ぶことが重要です。早い段階で方向性を定めておくことで、後工程での混乱を防げます。
4.建物調査・劣化診断を行う
精度の高い大規模修繕を行うためには、建物調査・劣化診断が欠かせません。
調査を行わずに見積もりを取ってしまうと、工事範囲や数量の前提が曖昧になり、いざ工事が始まってから追加工事が発生したり、費用が増加したりする原因になります。
建物調査を実施することで、外壁・防水・鉄部などの劣化状況や、緊急性の高い修繕箇所が明確になるでしょう。
また、今回修繕すべき範囲と、将来に回せる部分を整理できるため、無駄な工事を避けることにもつながります。
調査には一定の費用がかかりますが、長期的に見れば将来コストを抑えるための重要な工程です。
大規模修繕の品質を左右する土台として、コンサルティング会社や専門の調査会社に依頼して、忘れずに行いましょう。
5.修繕計画・資金計画を立てる
建物調査の結果を踏まえ、具体的な修繕計画と資金計画を立てていきます。
工事の時期や内容、優先順位を整理することで、現実的で無理のない計画を描けます。
あわせて、修繕積立金の残高や今後の見通しを確認し、必要に応じて積立金の見直しや工事内容の調整も検討しましょう。
また、国や自治体による補助金・助成金が利用できるケースもあるため、対象条件を事前にチェックしておくことをおすすめします。
建物調査の結果を受けて急ぐ必要のない一部の工事を延期することで、当面は必要な修繕費用を抑えられる可能性もあります。
それでも費用が足りない場合は、住宅支援機構が提供する「マンション共用部分リフォーム融資」など、マンションの修繕に利用できるローンも検討していきましょう。
今回の修繕だけでなく、次回以降の大規模修繕まで見据えた計画を立てることが、長期的に安定したマンション運営につながります。
6.施工会社を選定する
大規模修繕の品質や満足度を左右する最大のポイントが、施工会社の選定です。
特に「設計監理方式」や「責任施工方式」を採用する場合は、管理組合自身が主体となって施工会社を比較・検討することになります。
建築業界紙などを通じて施工会社を公募し、提出された会社概要や実績資料をもとに書類選考を実施するのが一般的です。
この段階で、マンション大規模修繕の実績や会社規模、対応エリアなどを確認し、候補を数社に絞り込みます。
書類選考を通過した施工会社には、見積書の提出とあわせてプレゼンテーションを依頼します。
プレゼンでは、工事内容や施工体制だけでなく、工事期間中の住民対応やセキュリティ対策、保証内容、アフターフォロー体制なども重要な確認ポイントです。
あわせて、定期的な進捗報告の方法や、管理組合とのコミュニケーション体制についても具体的に確認しておくと安心です。
可能であれば、実際に現場を統括する現場監督者にも同席してもらい、説明のわかりやすさや受け答えの姿勢、人柄などもチェックしておきましょう。
工事期間中は長期にわたって現場監督者と関わることになるため、信頼して任せられるかどうかは重要な判断材料になります。
また、施工会社の信頼性を確認するために、帝国データバンクなどを活用して経営状態を調べたり、公式ホームページに掲載されている過去の施工事例を確認したりすることも有効です。
価格だけで判断せず、実績・体制・対応力を総合的に見極めることが、後悔しない施工会社選定につながります。
7.総会決議と住民への説明を行う
大規模修繕を円滑に進めるために、総会決議の前に住民への説明会を開催しましょう。
工事内容や費用、スケジュールを事前に共有し、不安や疑問を解消しておくことで、総会での合意形成がスムーズになります。
説明会では、専門用語を避け、できるだけ分かりやすい言葉で伝えることを意識しましょう。住民が内容を理解し納得できている状態をつくることが重要です。
住民説明会で一定の理解が得られた段階で、総会にて大規模修繕工事の実施について決議を行います。
総会では、施工会社の選定結果や工事内容、工期、予算などを正式に議案として提示し、管理組合としての意思決定を行いましょう。
総会で工事の実施が承認された後は、理事会や修繕委員会が中心となり、工事期間中の生活への影響について改めて説明する機会を設けるようにします。
大規模修繕が始まると、足場によって建物が覆われることで洗濯物が干しにくくなったり、作業員の出入りが増えたりするなど、日常生活に少なからず影響が生じます。
こうした生活への影響については、施工会社やコンサルティング会社の担当者にも協力してもらい、具体的な内容や期間、注意点を事前に説明しておくと安心です。
あらかじめ情報を共有しておくことで、工事期間中の苦情や問い合わせを減らし、住民の不安を和らげることにつながります。
総会決議から着工までの間も、掲示板や回覧、定期的な案内などを通じて情報発信を続け、管理組合と住民が同じ認識を持った状態で工事を迎えられるよう心がけましょう。
8.着工する
一般的に、大規模修繕工事は以下のような流れで進んでいきます。
- ・仮設足場の組立
- ・外壁の下地補修、タイル補修
- ・シーリング工事
- ・高圧洗浄
- ・外壁・鉄部の塗装
- ・屋上防水工事
- ・開放廊下、階段、バルコニーなど共用部の床防水工事
- ・完成検査
- ・仮設足場の解体
工事期間中は、施工会社の現場代理人を中心に進行管理が行われます。現場代理人は建築現場の司令塔として工事全体を統括し、管理組合や修繕委員会、コンサルティング会社との窓口役を担う存在です。
着工後は、週に1回程度を目安に打ち合わせを行い、仕上がりや進捗を確認しながら、「ここはもう少しこうしてほしい」といった要望を随時伝えていくことになります。
設計監理方式などでコンサルティング会社に工事監理を依頼している場合でも、すべてを任せきりにするのは避けたいところです。
月に1回程度は、コンサルティング会社の担当者に修繕委員会のミーティングへ同席してもらい、工事状況の報告を受けながら、住民側の要望や懸念点を共有していきましょう。
こうしたやり取りを通じて、管理組合の意向が適切に工事へ反映される形で、大規模修繕は進行していきます。
9.竣工検査とアフター点検を実施する
当初の修繕計画どおりに工事が行われているかを確認するため、最後に竣工検査を実施しましょう。
竣工検査では、外壁や防水、鉄部など各工事箇所について、仕上がりや施工内容に問題がないかを確認します。
検査の時点で不具合や是正が必要な箇所が見つかった場合は、再工事や追加工事について施工会社と協議し、対応内容やスケジュールを調整することになります。
問題がないことを確認できたら、理事会で最終確認を行い、工事完了の書類にサインします。
この際に施工会社から受け取る工事完了届に加え、設計図書や修繕箇所の写真、工事記録などは次回以降の大規模修繕で重要な資料となるため、適切に保管しておきましょう。
また、大規模修繕では工事終了後のアフター点検も欠かせません。
一般的には、工事完了後1年・3年・7年といった周期で点検を実施します。
特に防水工事は、一定期間が経過してから不具合が顕在化するケースも多いため、重点的に確認することが大切です。
10.理事会で慰労会などを開催する
大規模修繕が無事に完了した後は、関係者をねぎらう場を設けるとよいでしょう。形式ばったものである必要はなく、無理のない範囲で実施すれば十分です。
一区切りをつけることで、住民同士の結束が強まり、次回修繕や今後の管理運営を前向きに進める土台づくりにもつながります。
マンション大規模修繕の進め方で失敗しないためのポイント
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マンション大規模修繕の進め方で失敗しないためのポイントは、以下の通りです。
-
・管理組合主導で進める
-
・早めに準備を開始する
-
・専門家のアドバイスをうまく活用する
-
・金額の安さだけにとらわれない
-
・マンション大規模修繕で起こり得るトラブルを把握しておく
-
・次回の大規模修繕に向けた準備も行う
管理組合主導で進める
大規模修繕工事を進めるうえで意識しておきたいのは、工事を主導する立場にあるのはあくまでも管理組合であるという点です。
大規模修繕は専門的な知識が必要で、工事期間も長くなるため、修繕委員会のメンバーや施工会社に任せきりになってしまうことも少なくありません。
しかし、マンションはすべての管理組合員の共有財産であり、住みよい環境を維持していく責任は管理組合全体にあります。
そのため、理事会や修繕委員会は、工事の進捗状況や検討内容を積極的に共有し、管理組合員一人ひとりが大規模修繕を「自分ごと」として捉えられるように働きかけることが重要です。
情報共有が十分に行われていれば、合意形成が進みやすくなるだけでなく、工事期間中の不安や不満の軽減にもつながります。
早めに準備を開始する
マンション大規模修繕をスムーズに進めるためには、できるだけ早い段階から準備を始めることが重要です。
大規模修繕は、検討開始から工事完了までに1〜2年程度かかるケースも多く、直前になって慌てて動き出すと、十分な検討や比較ができなくなってしまいます。
早めに準備を始めることで、修繕委員会の立ち上げや専門家の選定、建物調査、資金計画などを余裕をもって進められます。
また、住民への説明や合意形成にも時間をかけられるため、総会決議や工事開始がスムーズになりやすい点も大きなメリットです。
計画的な大規模修繕を実現するために、先延ばしにせずに早めの行動を意識しましょう。
専門家のアドバイスをうまく活用する
大規模修繕は、専門家のアドバイスを適切に取り入れることで、判断の精度を高めながら効率的に進められます。
設計監理者や大規模修繕コンサルタントが関与することで、工事内容や見積金額の妥当性を第三者の視点で確認できるようになります。
施工会社との間に立ってもらうことで、利害関係を切り分けやすくなり、管理組合として冷静な判断がしやすくなる点もメリットです。
すべてを任せきりにする必要はありませんが、必要な場面で専門家の知見を活用することで、理事や委員の負担を軽減しながら、質の高い大規模修繕を目指せるでしょう。
金額の安さだけにとらわれない
大規模修繕では、工事費用が高額になるため、どうしても「少しでも安く」と考えがちです。
しかし、金額の安さだけを基準に施工会社や工事内容を決めてしまうと、後悔につながる可能性があります。
極端に安い見積もりには、工事範囲が必要以上に削られていたり、仕様が最低限に抑えられていたりするケースも少なくありません。
工事後に不具合が発生し、結果的に追加費用がかかってしまうこともあります。
大切なのは、金額だけでなく、工事内容や仕様がマンションの状況に合っているか、将来の修繕コストまで見据えた提案になっているかを総合的に判断することです。
適正な価格で、長期的に安心できる修繕を目指しましょう。
マンション大規模修繕で起こり得るトラブルを把握しておく
大規模修繕では、工事中や工事後にさまざまなトラブルが発生する可能性があるため、事前に確認しておきましょう。
あらかじめ起こり得るトラブルを把握しておくことで、予防策を講じやすくなり、万が一の際も落ち着いて対応できます。
施工会社との間では、工事の遅延や施工不良、追加費用の発生といったトラブルが起こることがあります。
また、工事期間が長期にわたるため、騒音や動線の制限などによって、居住者や近隣住民のストレスが高まるケースもあります。
こうしたトラブルを防ぐためには、事前の住民説明会の実施や、問い合わせ窓口の明確化、定期的な進捗報告など、十分に準備を整えておくことが重要です。
次回の大規模修繕に向けた準備も行う
大規模修繕は、一度きりで終わるものではありません。将来の修繕に備えて、工事の記録やノウハウをしっかり残しておくことが大切です。
工事中の打ち合わせ内容や、実際にかかった費用、良かった点や改善すべき点などを整理しておくことで、次回の修繕計画を立てる際に大きな助けになります。
また、設計図書や工事写真、検査記録なども一元管理しておくと安心です。
今回の経験を次につなげる意識を持つことで、マンション全体の管理品質を継続的に高めていけるでしょう。
マンション大規模修繕の進め方を理解して、計画的に修繕を進めよう
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マンション大規模修繕を成功させるためには、全体の流れを正しく理解し、計画的に準備を進めることが何より重要です。
各工程を丁寧に積み重ねることで、無理のない修繕計画が実現します。
また、工事期間中や完了後も管理組合が主体的に関わり、記録やノウハウを次回へ引き継ぐ視点を持つことが大切です。
大規模修繕を効率的に進めて、将来を見据えたマンション管理につなげていきましょう。
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